2018 Fiscal Year Research-status Report
超高速ゲノム解読に基づく骨格性下顎前突症感受性候補遺伝子の探索
Project/Area Number |
17K11949
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
梶井 貴史 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 准教授 (60322822)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡 晃 東海大学, 総合医学研究所, 講師 (80384866)
八田 光世 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 教授 (30344518)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | エクソーム解析 / 骨格性下顎前突症 |
Outline of Annual Research Achievements |
過去に行ったゲノムワイド関連解析では、欧米人よりも日本人で多く認められる骨格性下顎前突症の強いリスクを伴う感受性候補遺伝子を突き止めることができなかった。そこで大家系を用いた全エクソーム解析により遺伝子機能に影響を与える原因変異を探索し、最終的には成長期の骨格性下顎前突症患者で将来外科手術が必要となるか否かを、成長期のうちに確定診断できるようにすることが本研究の目的である。 大家系(同一家系に14個体の骨格性下顎前突症罹患者)を用いた全エクソーム解析を行う前に、本年度はまず、4世代にわたる15個体から成る家系(うち罹患者5個体)を用いた全エクソーム解析を行った。罹患者4名、非罹患者5名のゲノムDNAからSureSelect v6+UTRsキットを用いてエクソームライブラリを調整し、次世代シークエンサーを用いてこのライブラリをシークエンスした。 その結果、罹患者4名の全てに認められ、非罹患者5名のいずれにも認められなかったエクソン領域のアミノ酸置換を伴う一塩基変異は、5個であった。この変異は、UBASH3B遺伝子、OR6M1遺伝子、OR8D4遺伝子、OR8B4遺伝子、BEST3遺伝子上に存在していた。 このうち、OR遺伝子の一塩基変異はこれらがコードするタンパクの機能に変化を及ぼさないことがほとんどであることから、これらの変異を除外した。また、UBASH3B遺伝子の一塩基変異の頻度は欧米人よりも日本人で低いことより、この変異も除外した。BEST3遺伝子の一塩基変異はデータベースには掲載されていない新規の変異であった。そこで、比較ゲノム解析を行ったところ、この塩基がコドンとなるアミノ酸は種を超えて保存されていた。よって、BEST3 遺伝子のアミノ酸置換を伴う新規の一塩基変異(c.1816C>A、p.L606I)は、骨格性下顎前突症の強いリスク因子であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
大家系からのゲノムDNAサンプルはまだ得られていないものの、中規模の1家系からの全エクソーム解析を研究期間1年目にして既に行うことができ、解析結果を分析して論文にまとめるところまでを研究期間2年目にして行うことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に得られた全エクソーム解析の分析結果を、遺伝子連鎖解析を行うことにより追試する。また、大家系からのゲノムDNAサンプルの採取を引き続き行っていく。
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Causes of Carryover |
次年度には試薬等の消耗品を引き続き購入するので、その費用として用いる。
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Research Products
(5 results)