2017 Fiscal Year Research-status Report
ミュータンスレンサ球菌の引き起こすIgA腎症悪化メカニズムの解析
Project/Area Number |
17K11959
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
仲 周平 岡山大学, 大学病院, 講師 (10589774)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仲野 和彦 大阪大学, 歯学研究科, 教授 (00379083)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | IgA 腎症 / Streptococcus mutans / コラーゲン結合タンパク / う蝕モデルラット |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの臨床研究において、IgA 腎症患者の口腔内から検出されるう蝕病原性細菌 Streptococcus mutans では、表層にコラーゲン結合タンパク (Cnm) の保有率が健常者と比較して有意に高いことを明らかにしてきた。さらに、IgA 腎症患者群のうち、Cnm 陽性 S. mutans 株を保有している患者は、Cnm 陰性 S. mutans 株保有している患者と比較して、う蝕経験歯数およびタンパク尿の値が有意に高いことが示された。う蝕モデルラット動物実験では、IgA 腎症患者より検出された Cnm 陽性 S. mutans 株をラットの口腔内に定着させ、16、24 および 32 週で腎臓の状態を評価した。各時期において体重や腎臓重量には両群の間に有意な差は認められなかった。また、屠殺時に摘出した腎臓を用いて、 IgA 抗体および C3 補体に対する抗体を用いた免疫染色を行ったところ、菌の定着後 24週目のラット腎臓の糸球体では、IgA 腎症患者と同様にIgA および C3 の沈着が他の時期と比較して顕著に認められた。 本研究の結果から、Cnm 陽性 S. mutans 株が、口腔内でう蝕を誘発し、さらに血液中に侵入することにより何らかの免疫異常を生じ、腎臓での IgA や C3 の沈着を促進させ、IgA 腎症を発症させている可能性が示唆された。 現在、さらに長期にわたる病状の推移を観察するため、菌の定着後 24週 以降での、IgA および C3 の沈着の程度の進行の度合い、病状悪化の程度を検討しているところである。得られた結果をもとに、Cnm 陽性 S. mutans 株の関連するう蝕モデルラットにおける IgA 腎症発症の時期の特定および発症メカニズムに関しての詳細を追究していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究当初に予定していたう蝕モデルラットを用いた動物実験に関しては予定通りに進展した。今後はIgA 腎症を有する患者の口腔から分離された S. mutans 株の生物学的性状に関しての分子生物学的手法を用いて検討する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度得られた結果は概ね予測通りであったため、次年度も申請書に記載した当初からの予定通り推進 したいと考えている。また、順調にデータが得られているため、当初の予定を前倒しして論文発表を行いたいと考えている。
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