2017 Fiscal Year Research-status Report
骨形成と血管石灰化に関与するmicroRNAの解析と標的遺伝子の同定
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17K11967
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
藤田 優子 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (90514670)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧 憲司 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (60209400)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | マイクロRNA / マイクロアレイ / 骨形成 / 血管新生 / ラット |
Outline of Annual Research Achievements |
老化、肥満、慢性腎臓病などが原因で形成される動脈硬化は、酸化ストレスや慢性炎症により血管平滑筋が主体となって、骨形成と類似したプロセスで能動的に血管を石灰化していくことで発症・進展する 。また、近年の臨床研究において、血管石灰化は骨粗鬆症を合併することが確認されている。両者は共通の分子生物学的基盤を有するといわれているが、骨粗鬆症では骨吸収が優位になるのに対し、血管石灰化は骨形成が優位になるメカニズムは未だ不明である。そこで我々は、骨化の機序や様々なストレスが引き起こす骨・関節疾患の病態解明に向けて取り組みを行っている。 microRNA (miRNA) はノンコーディングRNAの一種で、20から25塩基ほどの1本鎖RNAであり、標的となる遺伝子のmRNAに結合してその翻訳を阻害または直接分解する機能を有する。また、正常組織と疾患組織とではその発現様式が異なる。そこで我々は、正常な動脈では、ある種のmiRNAが血管内で石灰化因子の発現を抑制し、動脈硬化形成を制御している、あるいは動脈硬化を感知した際に、石灰化を抑制する作用を持つ因子の発現を上昇させると仮説を立てた。 本年度は、生後3週齢の雄ラット10匹を5匹ずつ固形食摂取(HD)群または粉末食摂取(SD)群の2群に分け、8週間飼育を行った。咬筋のトータルRNAを抽出後、miRNAとmRNAのマイクロアレイ解析を行い、2群間で発現が有意に変動したmiRNAとmRNAを抽出した。次に、2種のオンラインデータベースを使用して変動miRNAの標的遺伝子を検出し、アレイ解析で得られた変動mRNAと一致した遺伝子を標的候補として選出した。さらに、候補遺伝子の機能解析を行い、血管新生と骨代謝に関連した遺伝子を抽出し、miRNA-mRNAペアの絞込みを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
特に問題なく研究計画を遂行できているため
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Strategy for Future Research Activity |
1.血管石灰化ラットモデルの大動脈におけるmiRNAとmRNAのマイクロアレイ解析および統合解析を行い、血管石灰化によって発現変動するmiRNAと標的遺伝子を探索する。また、in vitroでmiRNAと標的mRNAの組み合わせを同定する。 2.高リン刺激により石灰化を誘導したラット大動脈血管平滑筋細胞に候補miRNAの過剰発現や阻害剤によるノックダウンを行い、標的mRNAの同定と定量解析を行う 。 3.骨-血管の恒常性維持に関わるmiRNAと標的mRNAを検出し、正常な血管平滑筋細胞にmiRNA過剰を発現させ、標的mRNAの定量解析を行う。
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Causes of Carryover |
国際学会の参加を日程の調整がつかず、次年度以降に予定を変更したため。
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Research Products
(7 results)