2018 Fiscal Year Research-status Report
気管支喘息の発症機序と発作誘因における血小板の役割について
Project/Area Number |
17K11976
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
船山 ひろみ 鶴見大学, 歯学部, 助教 (00359530)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
脇田 亮 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 准教授 (60376712)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 喘息 / 気管支平滑筋 / 血小板 |
Outline of Annual Research Achievements |
喘息は気道過敏性の亢進,気道狭窄を特徴とする慢性閉塞性の肺疾患である.Gタンパク質結合受容体はAktのリン酸化を含むシグナル伝達を介して気管支平滑筋(ASM)の細胞増殖を促進する事が報告されている.またNeurokinin-1(NK1)は気道収縮を引き起こすことが知られている.当初NK1受容体の活性化は病的なASM増殖を促進すると考えていた.しかし,我々は,予想に反してNK1受容体作動薬のSM-SubPは,NK1を高発現させたASM細胞を用いた実験で,血小板由来成長因子(Platelet Derived Growth Factors: PDGF)による細胞増殖を阻害したことを報告した.本研究ではNK1受容体を高発現したASM細胞におけるPDGFによる細胞増殖のメカニズムの解明をめざして,G蛋白βγシグナリング阻害薬(gallein)を用いた実験を行った. ヒト気管支平滑筋初代培養細胞にレンチウィルスを用いたNK1受容体の遺伝子導入を行った.細胞増殖の評価についてはBrdUの取り込み: Cell Proliferation ELISA, BrdU (chemiluminescent) (Roche)を用いた.Gallein (10 uM)の前投与によりPDGFによる細胞増殖が抑制され,その抑制効果は以前報告したNK1受容体作動薬のSM-SubP(10 uM)よりも強かった. GalleinはPI3KおよびRac1を介するシグナリングを抑制する.G蛋白βγサブユニットが,NK1受容体を介するPDGFの細胞増殖に関与することが考えられる.気管支平滑筋の細胞増殖に関わる分子シグナル伝達経路は,喘息由来の気管支狭窄に対して潜在的治療標的になる可能性がある.次年度も気管平滑筋の細胞増殖機構について,更に詳細に検討を加える予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
G蛋白βγシグナリング阻害薬であるgalleinを用いた実験を行った際に,galleinそのものの色素の影響で,細胞増殖を評価することに困難が生じた.種々のgallein濃度および検査法を検討するのに多くの時間を費やしてしまったため,研究の進行が遅れてしまった.
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Strategy for Future Research Activity |
おもな細胞増殖因子としてPDGFを用いて,気管支平滑筋の細胞増殖に関わる,特に細胞内シグナリング機構を中心に検討する予定である.
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Causes of Carryover |
(理由)試薬注文時に極力価格の低廉な製品を選択するよう節約を心がけたたことと,増殖試験の選定に時間がかかり他の実験系に取りかかることが出来なかったため次年度使用額が発生してしまった. (使用計画)最終年度は,次年度使用額を含めて,消耗品や抗体の購入と共に,解析費用や人件費,また成果発表や論文作成に必要な経費として使用する.
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Research Products
(4 results)