2018 Fiscal Year Research-status Report
ネットワーク解析に基づく歯・インプラント周囲細菌叢の情報基盤構築と新規治療法開発
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17K11981
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
竹内 康雄 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 講師 (60396968)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 史人 京都大学, 医学研究科, 准教授 (30423122)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | インプラント周囲炎 / 歯周炎 / 細菌 / 次世代シーケンサー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、次世代シーケンサーを用いて歯周炎とインプラント周囲炎に関連した細菌叢を網羅的に解析し、これに宿主・環境因子や治療介入による臨床データを加え、統合的な細菌ネットワーク解析結果から両疾患において発症予測や治療を行う上でターゲットとなる細菌や機能遺伝子を同定することである。本年はインプラント周囲炎・歯周炎を持つ患者23名から採取したプラークよりDNAを抽出し、メタゲノム解析・メタ16S rRNA解析を行い両疾患における細菌叢を比較した。その結果、歯周炎群からは155菌種、インプラント周囲炎群からは157菌種が検出された。このうち154菌種は両疾患で共通しており、主座標分析において両疾患群間で細菌叢組成が類似することが示された。一方で、両疾患において検出された主要な細菌種により構成されたネットワーク構造を比較したところ、インプラント周囲炎群では歯周炎群と比較して複雑なネットワーク構造を示した。またインプラント周囲炎群においては、Eubacterium nodatum、Tannerella forsythia、Dialister invisusが、歯周炎群においてはEubacterium nodatum、Eubacterium saphenum、 Treponema denticolaがネットワーク構造の中心に存在するキーストーン種である可能性が示唆された。またメタゲノム解析による細菌叢の機能組成解析の結果では、インプラント周囲炎群と歯周炎群代謝経路、病原因子、遺伝子組成に類似性が認められた。以前実施したメタトランスクリプトーム解析でも同様の傾向が認められており、DNAとRNAのいずれのサンプルを用いた場合でも、その細菌叢の特徴・機能解析結果には大きな差違が生じないことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
サンプルの採取はほぼ予定通り進んだ。RNA抽出時に不具合が生じ、いくつかは失われたものの、一定のサンプルはシークエンスを実施することができた。現在、データベースに照合・解析を進めているところである。一部のデータについて学会での発表を予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きサンプルの採取および解析を進める。特に治療後のサンプル採取を確実に進めていく。
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Causes of Carryover |
消耗品が予定額よりも安価に購入できたため。来年度の消耗品購入に充てる予定。
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