2018 Fiscal Year Research-status Report
炎症の収束と組織リモデリングを誘導する次世代歯周組織再生治療法の構築
Project/Area Number |
17K11986
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
讃井 彰一 九州大学, 大学病院, 講師 (70507780)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武富 孝治 久留米大学, 医学部, 講師 (10553290)
西村 英紀 九州大学, 歯学研究院, 教授 (80208222)
福田 隆男 九州大学, 大学病院, 講師 (80507781)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | Spry2 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在では数多くの歯周組織再生療法が臨床応用されているが、いずれも適応症が限られており、加えて歯周組織は再生過程において常に口腔細菌による感染の危険性に曝されている。一般に再生過程は炎症により強く阻害されるため、歯周組織再生の成功には速やかな歯周炎の収束誘導が不可欠である。本研究の目的は、Spry2が阻害される作用点をタンパク質構造解析より割り出しSpry2阻害剤を開発することである。最終的に、歯周組織破壊が起きた部位に、創薬されたSpry2阻害剤を局所適用することで、炎症の終焉および速やかな骨造成が開始される新しい歯周組織再生療法を開発し、その有用性を確立したいと考えている。 現在までの研究成果は以下の通りである。 歯周組織再生の過程において歯槽骨造成は重要である。そこで、MC3T3-E1細胞を用いて骨芽細胞に対するSpry2の影響を検討した。塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)の刺激に対し、Spry2の強発現は対照群と比べて古典的MAPKであるErk1/2のリン酸化を抑制し、かつRunx2とalkaline phosphatase (ALP)の遺伝子発現を著しく抑制していた。さらにbone morphogenetic protein(BMP)刺激によってSmad1/5/7のリン酸化を負に制御することによってALP、osterix、osteocalcinを抑制することが判明した。 今後はSpry2を阻害する可能性のある分子をプロテオミクス解析により探索し、実験動物の歯周炎部位へ局所投与を行い、Spry2阻害剤のM2マクロファージ転換効率および歯周組織再生効率を測定する。同時に副作用による異常所見や周囲組織の癌化の有無等を経時的に観察する。また、多方面からの検討として、Spry2標的siRNAの局所投与も同時に確認する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
培養細胞の細胞機能解析において細胞シグナリングの詳細が判明しつつあるが、動物実験と構造解析の成果は遅れているため、上記区分とした。
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Strategy for Future Research Activity |
Spry2の活性化・不活性化機構が近年明らかになりつつある。Spry2分子におけるリン酸化部位および他の会合分子を参考に構造解析に基づくSpry2阻害剤の開発を目指す。
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Causes of Carryover |
本年度は培養細胞実験が中心で、経費のかかる動物実験がやや遅れている。動物実験の研究を次年度中心に行なうため、これを次年度に繰り越した。 Spry2を阻害する可能性のある分子をプロテオミクス解析により探索し、実験動物の歯周炎部位への局所投与を行ない、Spry2阻害剤の効果を測定する。同時に副作用による異常所見や周囲組織の癌化の有無等を経時的に観察する。また、多方面からの検討として、Spry2標的siRNAの局所投与も同時に確認する。
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