2019 Fiscal Year Annual Research Report
Development of a program to maintain swallowing function in person with severe physical and intellectual disabilities
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17K12007
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田中 信和 大阪大学, 歯学部附属病院, 助教 (20570295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野原 幹司 大阪大学, 歯学研究科, 准教授 (20346167)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 摂食嚥下障害 / 重症心身障害児者 / 嚥下頻度 / 嚥下機能 / 廃用 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,昨年度に引き続き重症心身障害児者(重症児者)の日常生活における嚥下頻度の測定を実施した. 対象は,重症心身障害児者施設(医療福祉センター)の利用者50名(平均年齢:45.8±13.6歳,男性:28名,女性:22名)とした.対象者の日常生活中の嚥下頻度を測定し,各症例における日常の嚥下頻度の再現性(嚥下頻度にばらつきはないか),ならびに経口摂取の有無による違いを検討した.(経口摂取群:30名,経管栄養群:20名,喉頭分離症例は対象から除外)測定の条件として,発熱などの体調不良を認めないこと,測定の時間帯は全被験者で統一(午後2~4時の間の1時間)することとした.さらに測定30分前~測定中の経口摂取(経管栄養症例では注入)は禁止した.その他の行動制限として入浴のみ禁止した.この条件下にて,被検者の嚥下頻度をそれぞれ,週に1回,3週続けて測定し,被検者1名につき合計3回の嚥下頻度を測定した.嚥下回数の測定は,喉頭マイクロフォンを用いた嚥下音の解析により行った. 各被験者の3回の嚥下頻度の測定の結果,各症例の嚥下頻度の級内相関係数(ICC)は,全症例で0.880,経口摂取群で0.885,経管栄養群で0.928となり,日常の嚥下頻度は,同一被験者内ではばらつきが少なく,一定の範囲で保たれていた.また,各群の1時間あたり嚥下回数の平均は,経口摂取群で27.4±25.4回,経管栄養群で11.4±14.3回となり,経口摂取群とくらべ経管栄養群では有意に嚥下頻度が低下していた(P < 0.01). 今回の結果から,重症児者において日常生活における嚥下頻度は,症例ごとに一定の範囲をとり再現性が高いこと,くわえて,経管栄養群で有意に低下していることから嚥下機能と関連している可能性が考えられた.これらのことから,日常の嚥下頻度の多寡が嚥下機能の指標として有用であることが示唆された.
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