2017 Fiscal Year Research-status Report
糖尿病性腎症の重症化に関与する口腔環境要因の解明と口腔版予防プログラムの開発
Project/Area Number |
17K12009
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
吉岡 昌美 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学系), 准教授 (90243708)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長井 幸二郎 徳島大学, 病院, 講師 (40542048)
柳沢 志津子 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学系), 講師 (10350927)
白山 靖彦 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学系), 教授 (40434542)
日野出 大輔 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学系), 教授 (70189801)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 特定健診 / メタボリックシンドローム / 歯周病 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、まず特定健診受診者を対象とした後ろ向きコホート研究を行い、口腔状態と糖尿病性腎症関連指標の関連を確認し、研究基盤を整える予定であったが、その手始めとして本年度は特定健診受診者について、過去の歯科健診データと医科データの関連について横断的に分析した。平成27年度の健診を受診し、歯周疾患の指数であるCPIとHbA1cの両方のデータが揃っている55歳から74歳の男女234名を対象に、55-64歳と65-74歳の年齢層と性別で群分けし、CPIとメタボリックシンドローム関連指標(BMI、HbA1c、HDL、中性脂肪など)との関連性について統計学的に検討した。20本以上の歯を有する者を対象に、CPIと各指標との関連性を調べた結果、55-64歳女性(43名)において、CPIとBMI、HbA1cが有意な相関を示した。またCPIを4㎜未満群と4㎜以上群で分けた場合、BMI、HbA1cともにCPI4㎜以上群で有意に高い値を示した。65-74歳男性(53名)においては、CPIとBMI、HDLが有意な相関を示した。また、CPIを4㎜未満群と4㎜以上群で分けた場合、BMIと中性脂肪がCPI4㎜以上群で有意に高く、HDLは有意に低い値を示した。歯周病と糖尿病の関係は多くの疫学研究により報告されているが、今回の研究結果においても年代性別によっては歯周病が肥満や血糖コントロールと関連する可能性が示された。これを踏まえ、次年度以降は歯周病のコントロールがメタボリックシンドロームの重症化予防に寄与する可能性を探るべく、特定健診受診者のコホート研究を進めていきたいと考えている。 一方、次年度に開始を予定している内科患者の口腔・食事関連要因と医科データの関連についての前向きコホート研究および糖尿病患者の保健指導に有効な内容と手法の検討については本年度は患者のリクルートに協力していただける病院での倫理審査を受け、研究を実施する体制を整え、次年度の本格実施に向けて準備しているところである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度は特定健診受診者を対象とした後ろ向きコホート研究および内科受診患者を対象とした前向きコホート研究を開始する予定であったが、倫理審査委員会への申請が遅れたこと、研究代表者の長期療養と異動が重なったことにより、研究開始が次年度に持ち越しとなったことから、研究の進展が遅れることとなった。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度までに行った調査結果を踏まえ、特定健診受診者に同意を取り、特定健診の医科データと過去の歯科データのデータセットを作成し、口腔関連要因(残存歯数、咬合支持、CPI)が糖尿病性腎症関連項目(HbA1c、BMI、血圧、総コレステロール、HDL-C、血清Cr、尿蛋白、eGFRなど)にどのように関与するかを統計学的に分析する。 また、糖尿病で内科を定期受診している患者を対象に口腔関連要因と食事関連要因のアセスメントを行い、前向きコホート研究の基盤固めに着手する。具体的には口腔関連要因(上記項目に加えて、唾液中の潜血、細菌数、pH、緩衝能、白血球、たんぱく質、アンモニアなど)と食事関連要因(食事や栄養の偏り、栄養過多、栄養不良、早食い、流し込み食べなどの食習慣)についてモニターするとともに、「よく噛んで食べること」を中心とした歯科保健指導を行い、糖尿病患者の行動変容に有効な介入プログラムを検討する。
|
Causes of Carryover |
理由:当初の計画では、本年度中に特定健診受診者及び内科外来受診者を対象にした前向きコホート研究を開始する予定であったが、開始できなかった。したがって、唾液検査に必要な消耗品等に見込んでいた経費を一部持ち越すこととなった。 使用計画:次年度は、健診受診者や内科患者を対象とした前向きコホート研究を開始するため、平成29年度より持ち越した経費は唾液検査等に必要な消耗品費として使用する予定である。
|
Research Products
(1 results)