2017 Fiscal Year Research-status Report
歯科医療に潜む肝炎ウイルス感染症のパラダイムシフト-意識と実態調査からの提言
Project/Area Number |
17K12012
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
長尾 由実子 佐賀大学, 医学部, 寄附講座教授 (90227992)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 歯科 / 肝炎ウイルス / 院内感染 / 肝外病変 / 扁平苔癬 / インターネット / C型肝炎ウイルス / B型肝炎ウイルス |
Outline of Annual Research Achievements |
国内に300万人以上いると推定される肝炎ウイルス感染は、わが国で最大の感染症である。歯科医師は、肝炎ウイルスが引き起こす肝外病変(口腔扁平苔癬)の知識だけでなく、肝炎に対する院内感染対策も身につける必要がある。しかし、日本では、歯科医療従事者におけるウイルス性肝疾患に対する知識について調査されたことがほとんどない。そこで、本研究では、歯科医療従事者における肝炎の知識と対策を調査した。2017年4月末から6月末までの2ヶ月間、日本歯科医療管理学会会員1,210名に対して、匿名によるオンラインアンケート調査を実施した。同意書を提出した者にはヒアリング調査を実施した。調査項目は、属性、ウイルス肝炎に対する自己管理、肝疾患に関する知識、院内感染対策、ウイルス肝炎患者への接し方、肝疾患に対する情報収集の方法についてである。集計作業を終了し、統計解析中である。
さらに、歯科介入による未治療のウイルス感染患者の拾い上げを後ろ向きに検討した。対象患者90名のうち、HCV感染の照会もしくは受診・治療勧奨を行うことができた患者は51名(56.7%)であった。51名中、HCV抗体陽性者は15名、HCV抗体陰性者は36名。1名は歯科からの受診勧奨により初めてHCV感染が発覚した。HCV抗体陽性15名について、照会・治療勧奨を行った者は12名で、その内訳は次の通りであった。SVR5名、DAA治療中2名、治療勧奨によるDAA治療2名(転機SVR)、治療勧奨によるIFN治療1名(転機SVR)、治療勧奨によるDAA治療適応にもかかわらず本人辞退2名。受診勧奨できなかった患者は3名だった。歯科と医科の医療連携を通して、肝炎の受診や治療勧奨を行うことができれば、未治療の肝炎患者を掘り起こすことも、治療に結びつけることも可能だと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画書通りに進行中であり、特に問題はない。
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Strategy for Future Research Activity |
国内の歯科医師を対象に肝炎ウイルスに関する意識と実態について解析結果をまとめ、投稿する。また、歯科を介した治療勧奨について、複数の地域で前向き調査を実施し、データをまとめる予定である。
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Causes of Carryover |
次年度、国内の複数地域で前向き調査(歯科介入による肝疾患治療勧奨の検証)を予定しており、その調査と啓発事業に費用がかかるため、当該年度の所要金額と次年度分を合わせて使用する。
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Research Products
(10 results)