2017 Fiscal Year Research-status Report
個人識別に最適化する歯式マトリックスと深層学習による個人識別に関する基礎的研究
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17K12014
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
丸山 陽市 長崎大学, 病院(歯学系), 講師 (50173969)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 歯科医療管理 / 個人識別 / 深層学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
東日本大震災を契機に,医療クラウドに構築する個人識別を目的とした歯式データベースの必要性が言われている。しかし、診療情報のIT化による歯科情報の収集方法や大規模データベースに関する基礎的研究が行われていないため、本研究では大規模歯式データベースでの個人識別に不可欠な、(1) 大規模歯式データベースでの個人識別に用いる歯式マトリックスの定義と(2) 深層学習による個人識別のニューラルネットワーク作成の基礎的研究を目的としている。 2015年1月から初診時歯式情報(部位、歯番、歯面、治療痕)、1歯単位の治療履歴を歯科システムからデータウェアハウスへデータ蓄積を行い、初診時歯式情報は11,608名、再診を含む歯の状態情報は6,423,667件を蓄積している。2017年度ではデータウェアハウスから抽出した歯式情報はSQL Serverでデータベース化している。さらに、深層ニューラルネットワークの開発環境構築を行っている状況である。 本研究では口腔内情報をマトリックスデータで表現し、深層学習(ディープラーニング)による個人識別のニューラルネットワークを作成する。このために、開発環境で設定するフレームワークはマトリックス処理に有利なTensorFlow(Google社)を採用した。当初の計画ではGPU4台で構成する演算ユニット14,336個の並列処理による深層学習を計画していた。現在はGPU2台での並列処理による深層学習を評価しているが、予想していた深層学習の演算速度が得られていない状況である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2017年度の計画では、GPU2台による深層学習の演算速度について評価を行ったが、並列処理による深層学習の速度はGPU1台の1.2倍程度の効果であった。当初の計画ではGPU4台による並列処理を予定したが、深層学習のアルゴリズム見直しが必要になり、並列処理の効率が良くなった状態で、最終的な開発環境を構築する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年に現有のGPUユニットより9倍程度高速な次世代のGPUユニットが入手可能な状況であるため、現有のGPUユニットによる並列処理速度と次世代GPU11台の処理速度評価を行い、深層学習の開発環境を決定する。さらに、大規模災害対策を前提にした場合、個人識別には大規模データベースから歯式情報を高速に検索する必要があるため、32歯の情報を1つの配列にまとめ、深層学習による個人識別ニューラルネットワークを作成する。このため、口腔内状態をパターン識別できる歯式マトリックスの定義を行う。
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Causes of Carryover |
2017年に現有のPascal世代のGPUユニットより9倍程度高速な次世代のVoltaチップのGPUユニット発売が発表され、現有のGPUによる並列処理速度と次世代GPU11台の処理速度評価を行った結果、次世代GPUユニットが有効であるという結果に至った。そこで、VoltaチップのGPUユニットが入手可能な状況になるまで待っていたため、深層学習の開発環境構築が遅れている。従って、2018年度はVoltaチップのGPUユニットによる深層学習の開発環境を早急に構築する。
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