2018 Fiscal Year Research-status Report
口腔粘膜上皮-小唾液腺ユニットを標的とした口腔乾燥治療の創薬応用
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17K12044
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
加藤 寛子 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 研究員 (70749994)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
照沼 美穂 新潟大学, 医歯学系, 教授 (50615739)
泉 健次 新潟大学, 医歯学系, 教授 (80242436)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 口腔乾燥症 / in vitroモデル / 小唾液腺 |
Outline of Annual Research Achievements |
口腔乾燥症は虫歯や歯周病などの口腔疾患、誤嚥による肺炎等の感染症リスクの一因であり、医療機関のみならず在宅、施設においての口腔乾燥症に対するケアの重要性が浸透しつつある。 一方で口腔乾燥症治療薬として認可されたムスカリン受容体作動薬は神経-唾液腺をターゲットとし、唾液の主要供給源である大唾液腺の機能亢進を狙ったものであるが、シェーグレン症候群等のごく限られた口腔乾燥症の適応しかない上に、唾液腺以外の臓器への副作用の可能性もある。さらに、現在はムスカリン受容体作動薬の適応とならない患者には漢方薬が用いられるが、体質の見極めや量や期間等、効果的な処方をする上で経験値が必要である。また、口腔保湿剤など他の治療法は対症療法であり、効果が弱い。したがって、副作用が少なく広い適応を持ち、なおかつ効果的なうがい薬・口腔ケア製品等の局所投与できる薬剤の開発が必要である。 口腔乾燥症のモデルとして唾液腺障害動物が用いられてきたが、ドライアイ・ドライスキンのin vitroモデルが報告されている中、口腔乾燥のin vitroモデルが開発されていないことは、上皮の局所病態の理解不足となるだけでなく、ケミカルライブラリー等による薬剤スクリーニングの応用の機会を失うことになり、口腔乾燥症治療法開発の大きな障害となっている。そこで申請者は口腔粘膜上皮の付属器として存在する小唾液腺に着目し、口腔粘膜上皮-小唾液腺複合体によるin vitro口腔乾燥モデルを開発することを本研究の目的とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
所属組織の異動によってヒト小唾液腺細胞が入手困難となったため、方針を変更せざるを得なくなりマウス小唾液腺組織の培養とマウス小唾液腺組織を3次元培養組織に移植することでモデル作成を試みた。マウス小唾液腺は3次元培養上皮に生着し、1日後には導管上皮との接合とピロカルピン刺激による唾液の分泌も認められたが、2日目以降まで維持することはできなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
機能的解析を行うことができるin vitroモデルの作成についてさらに検討していく。
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Causes of Carryover |
実験が遅れているため繰越金が生じた。次年度消耗品購入等に使用する予定である。
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