2019 Fiscal Year Research-status Report
口腔粘膜上皮-小唾液腺ユニットを標的とした口腔乾燥治療の創薬応用
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17K12044
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
加藤 寛子 大阪大学, 薬学研究科, 特任研究員(常勤) (70749994)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
照沼 美穂 新潟大学, 医歯学系, 教授 (50615739)
泉 健次 新潟大学, 医歯学系, 教授 (80242436)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 口腔粘膜上皮細胞 / アセチルコリン / 非神経性コリン作動系 |
Outline of Annual Research Achievements |
副交感神経由来のアセチルコリンがムスカリン受容体に作用して唾液分泌は亢進する。現在、口腔乾燥症治療薬の適応はシェーグレン症候群や放射線治療後の口腔乾燥症などの特定の症例に限られているが、口腔乾燥が誘発する感染症等のリスク低減のためにも、広く適応を持つ有効な治療薬が必要である。申請者は口腔粘膜上皮組織には神経組織によらない非神経性コリン作動系のアセチルコリン産生システムが存在し、上皮細胞から分泌されるアセチルコリンが小唾液腺の唾液分泌を促進するという仮説を立て、研究をすすめている。非神経性コリン作動系とは、皮膚を含む多くの上皮細胞や、心臓、免疫系など神経系以外の組織が自らアセチルコリンを産生、分泌、分解し、オートクライン・パラクライン作用によって、細胞自身と周囲の細胞に対して、各組織特異的な生物学的機能を発揮するシステムである(Takahashi, Neurotransmitter, 2015)。 口腔粘膜上皮細胞がアセチルコリンを産生できるかどうかを確認するため、ヒト初代培養口腔粘膜上皮細胞を無血清培地で培養し、その培養上清をELISA法で解析をすすめている。また、ヒト初代培養口腔粘膜上皮細胞からRNAを採取し、アセチルコリン産生に関与するcholine transporter、choline acetyltransferase、非神経性コリン作動系でアセチルコリンの運搬に関わるorganic cation transporterの遺伝子発現をqRT-PCRで解析をすすめている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
異動のため研究環境のセッティングなどに時間がかかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は口腔粘膜上皮のアセチルコリン産生、放出を亢進させる薬剤を検索していくとともに、口腔粘膜上皮由来のアセチルコリンが小唾液腺からの唾液分泌を促進するかどうかを検討する。
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Causes of Carryover |
異動のため研究のセッティングに時間がかかったため研究が遅れ、その分を次年度に持ち越す。使用計画としては主に実験に使用する消耗品と論文投稿の費用にあてる。
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