2018 Fiscal Year Research-status Report
療養環境に適したプルースト効果の探求;生命力を向上させる匂い環境の創生
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17K12080
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
吉永 砂織 宮崎大学, 医学部, 准教授 (50560596)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 匂い / 療養環境効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
匂いの適用に伴う生体反応状況について、心拍変動による自律神経機能活性について評価した。併せて、個々の持つ匂いの価値について、聞き取り調査によって評価した。匂いは、前年度からの文献調査により、看護技術での使用頻度が高く、個々の嗜好性が対照的なパターンをもつと考えられたラベンダーを用いた。匂い適用前、適用中、適用直後、回復の経時的な自律神経機能について観察した。自律神経機能は、高周波変動成分(HF)と低周波変動成分(LF)を抽出して、2つの成分比(LF/HF)をとって交感神経の活性度とした。LF/HFは、匂い適用前を基本状態とした、変化量として評価した。併せて、その時の気分について、5段階で評価した。匂いの価値については、匂いに対する印象度、記憶想起の状況、想起事項に対する快-不快度について評価した。30~40歳代の女性8名を対象とした。ラベンダー適用に伴い、多くの対象がLF/HFが一時的に上昇する傾向にあった。これらの被験者は、聞き取り調査項目の中で、ネガティブな要素をもつ回答が1つ以上見られていた。一方で、ネガティブ要素を全く含まない回答をした対象は、匂い適用に伴い、LF/HFが低下していた。これらの事から、本研究の主目的である、匂いに対する適反応者の抽出にあたり、自律神経バランスが1つの指標として有効であることが考えられた。今後、匂いに対する生理的反応と匂い価値観との照合においては更なる被験者数で観察していくこと等が必要になると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
匂いに対する価値観(個々の持つ印象や記憶)と生理反応との関連について、傾向を見出すことはできたが、関連性を見出すには更なる対象観察が必要であるため。
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Strategy for Future Research Activity |
匂い適用に伴う適反応者を抽出するにあたり、これまでは心身ともに安定した状態であったが、今後は療養状況を視野に入れた生理反応変化を検討していく必要があると考える。
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Causes of Carryover |
研究成果の公表までには至っておらず、これに関する費用の未使用が生じた。今後、これまでの成果を学術集会等で公表していく予定である。
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