2017 Fiscal Year Research-status Report
顔から笑いを抽出するメカニズムの解明:対人コミュニケーションへの応用を目指して
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17K12101
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Research Institution | The Japanese Red Cross Toyota College of Nursing |
Principal Investigator |
三木 研作 日本赤十字豊田看護大学, 看護学部, 教授 (10442534)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 顔認知 / 脳波 / 表情 / P100 / P1 / N170 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、まず、予備的な検討も含め、健常成人における表情認知メカニズムの解明のために、脳波計測を行い、時間的経過の変動を調べた。顔画像を提示後、どの時間帯の脳活動が表情認知を反映しているかの検討を行い、今後の研究の指標として用いていくためである。接客業に携わったことのない健常成人19名を対象に画像を提示して脳波計測を行った。画像は、①無表情の顔、②笑った顔、③怒った顔の3種類であった。それぞれの画像提示後100ミリ秒の明るさなどに情報処理を反映する初期視覚野の脳活動と約170ミリ秒後の顔認知の情報処理を反映する高次視覚野の脳活動を条件間で比較検討した。 まず、画像提示後100ミリ秒後にみられた脳活動の頂点潜時(刺激提示後、活動の振幅が最大になるまでの時間)において、条件間で有意な差はみられなかった。活動の大きさ(最大振幅)に関しては、笑った顔に対して一番大きく、怒った顔が一番小さい傾向にあった。次に、画像提示後170ミリ秒後にみられた脳活動の頂点潜時は、条件間で有意な差がみられなかった。活動の大きさに関しては、怒っている顔に対して一番大きい傾向にあった。 以上のことから、表情認知は、その情報処理の段階で、異なる種類の情報を処理している可能性が示唆された。今後は計画に示した表情変化に関する情報処理、ならびに表情認知と文字認知との違いを検討していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1.研究実績で報告した実験以降、2017年の10月に脳波計のバージョンアップを行い、その計測設定の調節に時間を要した。今までの計測状態を再現できるようになったのが2018年に入ってからであった。 2.2018年に入り、計測状態が再現できるようになり、その後の研究の予備実験を開始した。実験で用いる刺激を作成後、予備実験を行ったが、実験時間が長くなり被験者に負荷がかかることが想定されることを鑑み、刺激の提示条件などの変更を試みている。現時点では、未だ予備実験の段階であり、本実験に出来うる限り早く取り組めるようにと努力している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は出来るだけ申請書の計画通りに進めることが出来るように、実験方法(刺激条件や提示方法)を工夫して、計画の遅れを取り戻したいと考えている。
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Causes of Carryover |
次年度以降に購入予定の経頭蓋電気刺激装置ならびにその付属プログラムの価格が当初の予定より価格が高くなり、次年度に使用額の一部を使用するため。
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Research Products
(1 results)