2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K12119
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
大池 美也子 国際医療福祉大学, 福岡看護学部, 教授 (80284579)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
道面 千恵子 九州大学, 医学研究院, 助教 (80363357)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 看護学教育 / コンピテンシー / 看護教員 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、次世代看護教員の能力育成とキャリア発達に貢献できることを目指して、 本研究代表者によるライフストーリー研究結果(主要なテーマ:看護に関わる人材の育成を目指して大学教員として研鑽していく、組織に関わる課題に取り組みながら適応していく、看護・看護学を拠り所にしながら伝えていく)、WHOによるThe nurse educator competencies2) とNLN(National League of Nursing)によるCNE(Certified Nurse Educator)3)を参考にしながら、看護教員(nurse educator)コンピテンシーモデルの開発と検証を行い、本モデルの普及を図ることである。 そのために、本研究では、看護教員のコンピテンシーの焦点をあて、我が国におけるコンピテンシーモデルを開発し検証することを目的としている。 平成29年度では、国内国外の文献から看護教員コンピテンシーモデルを開発することであり、WHOとNLNが作成したコンピテンシーモデルについて翻訳し、本研究者による質的研究から見出された項目と比較を行った。その結果、我が国では看護教員の臨床経験が看護教員として活動する上において重要であることが確認された。 しかし、国外文献の改訂版入手の遅延があったこと、WHOとNLNにモデル項目の問い合わせをしたが回答を得られていないことがあった。このため、看護教員コンピテンシーモデルの項目は抽出されたが、確実性が乏しく、看護教員20名への調査へと進展することができなかった。 平成30年度においては、現在作成している看護教員コンピテンシーモデルについて看護教員と国内看護系大学教員に対し調査を進める予定であり、今年度内に調査可能として遂行する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年度の看護教員コンピテンシーモデルの開発において、国外文献の改訂版入手の遅延があったこと、WHOとNLNにモデル項目の問い合わせをしたが回答を得られていないことがあった。このため、WHOとNLNによるコンピテンシー項目をどの程度参考として開発するかについて検討することとなった。 また、コンピテンシーモデルの開発において、WHOでは、Competency Validation Rubricを教育学から採用し開発を進めていたことが明らかになった。国内の看護教員のコンピテンシーモデルの開発においても、入手できた国内外文献でよいのか、教育学領域で活用されているValidation Rubricを採用するかどうかの検討をした。特にCompetency Validation Rubricを翻訳したが、教育学の専門性の高い用語が使用されており、本研究者間において、日本語として十分な理解を得ることが困難であったこと、5段階にてコンピテンシーの概念の適切性を問う内容が複雑であること、開発しているコンピテンシーモデルのvalidationとして採用するには理解不足になる可能性があること、等から議論を行っていった。研究者間における共通理解を得ることに時間を要した。 これらの事情により、看護教員コンピテンシーモデルの項目は抽出されたが、各項目の適切性や評価方法の確実性が懸念され、看護教員20名を対象とした調査へと進展することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度においては、以下のことを進めていく。 1.WHOとNLNおよび本研究者の研究結果(看護教育の高等教育化時代における看護教員のライフストーリー研究)を比較・考察を整理し論文として投稿する。2.現在作成している看護教員コンピテンシーモデルの各項目を研究者間で再度見直し、調査項目としての明確性を高める。3.看護教員20名をリクルートする。対象となる看護教員は、新人から経験年数10年以上を含める。上記1の看護教員コンピテンシーモデルの各項目についてその適切性を看護教員に対し、郵送もしくは聞き取りの調査する。調査にあたっては、Competency Validation Rubricのなかから、わかりやすく理解しやすい用語を参考にしながら取り出し、validationを進める。また、調査対象となった看護教員からは、看護教員のコンピテンシーについて幅広い観点からの意見も収集する。4.上記3の結果を踏まえ、研究者間にて修正した看護教員コンピテンシーモデルを議論し作成する。5.上記の4.について、国内看護系大学教員に対し調査協力の依頼を行い調査用紙の配布と回収を郵送にて行う。6.コンピテンシーモデルの妥当性から回収した調査結果を分析する。
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Causes of Carryover |
平成29年度は作成した看護教員のコンピテンシーモデルについて、看護教員20名を対象に調査する予定として計上していた。改訂版書籍の入手遅延、コンピテンシーのvalidationについて検討するための時間を要したことが理由であったが、看護教員のコンピテンシーモデルの項目は列挙されている。このため、平成30年度は、20名の看護教員に対する調査を進めるため、平成29年から30年度にその費用を移し使用することが必要である。 看護系大学の看護教員のリクルートに当たっては、スノーボール方式をとるが、国立・私立などの異なる所属機関の看護系大学に対し協力依頼をする。このため、郵送費が発生する。また必要に応じて、直接伺いながら調査を進める可能性もあり、旅費や謝礼などにかかる費用が予測される。平成30年度では、主に調査を進めるため、調査用紙の印刷・配布と郵送、調査結果のデータ入力と分析では実働的に支援できる人件費や分析ソフトの費用が生じるために必要である。
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