2020 Fiscal Year Research-status Report
学習者中心パラダイムに基づく看護人材育成のための自己点検支援ポータル開発
Project/Area Number |
17K12122
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Research Institution | Iwate Prefectural University |
Principal Investigator |
遠藤 良仁 岩手県立大学, 看護学部, 講師 (00438087)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 收 岩手県立大学, 看護学部, 教授 (40320246)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 学習者中心パラダイム / 自己調整学習 / 相互コーチング |
Outline of Annual Research Achievements |
4年目にあたる本年度は、昨年度開発した看護師向けの自己点検支援ポータル(教育プログラム)を試行し有効性の評価を行った。 この教育プログラムは3名の看護師がグループとなり、オンライン上で交流しながら進める。まず各自オンライン教材にアクセスし、自己調整学習理論とコーチング理論の基礎知識を学び、自身が個人目標を表明する。その後、各参加者に別の参加者がコーチ、もう一名がコーチとのやりとりを観察する観察者の役割をそれぞれ受け持つ。このようにして3名が同時に3つの役割(クライエント役、コーチ役、観察者役)を担う体制を作る。そして、オンライン教材上の掲示板へ、(1)クライエントによる自己内省と次週の計画、(2)コーチによるコメント、(3)クライエントによるコーチング後の内省、(4)観察者による観察結果、(5)クライエントによる観察結果を読んだ内省、の順番で毎週投稿し、最終的に各自が自己目標の達成を目指すものである。 2020年7月から12月にかけて東北地方の2医療施設において、同一病院の看護師長3名ずつ(計6名)にこの教育プログラムを1ヶ月間試用してもらった。結果、6名中4名が、1ヶ月後に自身の目標達成度が10段階中5段階以上向上したと回答し、各自己調整学習獲得の自己評価もほぼ高水準に評価していた。さらに事後インタビューにおいてグループ1の参加者からは、為すべきことへ集中する中で文字化して積み重ねる大切さの理解と、自分事としてのモデリングなどから自己調整学習向上の実感を得ていたこと、さらに困難なコーチング体験が学びの必要性の自覚と学習への動機づけとなり、それが他者への貢献感とモチベーションの向上をもたらしていたことなどが示唆になった。以上より、本教育プログラムは看護師の自己調整学習の獲得を効果的に支援できる可能性があることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的である、eラーニングとeポートフォリオの技術を活用した自己点検支援教材の開発を行うことができ、3名の2グループ(計6名)の試用より一定の目標達成の効果が期待できることが明らかになったため。
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Strategy for Future Research Activity |
評価のための参加者数が6名と少なかったこと、さらには単一事例研究(シングルケースデザイン)を用いたことによりデータの偏りが考えられるため、複数の施設や異なる職位での教育プログラムの有効性の検証や、対照群を置いてのクロスオーバー研究を行っていく。 また、オンライン学習や交流に慣れていない参加者の使いやすさを向上させるため、投稿手順や各役割遂行に慣れるための練習期間と実施期間の設定、自己調整学習理論、コーチング理論、情報倫理に関する学習機会(講義)の提供、ファシリテータによる参加者の目標立案支援コーチングの実施、メンバーの投稿の有無、内容の影響性を考慮した、未投稿お知らせメール機能や投稿を促進するための通知機能の追加を行っていく。
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Causes of Carryover |
試用により明らかになったオンライン教材の問題点を改善するため、未投稿お知らせメール機能、投稿を促進するための通知機能の追加の開発費にあてる必要があるため。
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Remarks |
本webページは、Moodleを利用しており、専用IDとパスワードでログインすることで閲覧、利用することができます。
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Research Products
(2 results)