2017 Fiscal Year Research-status Report
性暴力被害者に対する急性期看護ケアに関する教育プログラムの開発と検証
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17K12129
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
福本 環 兵庫県立大学, 看護学部, 客員研究員(研究員) (40650619)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 性暴力被害 / 看護ケア / 被害直後 / 医療機関 / ワンストップ支援センター / 面接調査 / 質的記述的研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
被害直後からの産婦人科医療、相談・カウンセリングなどの心理的支援、捜査関連の支援、法的支援などの総合的な支援を可能な限り一か所で提供する性暴力被害者のためのワンストップ支援センター設置が国の後押しを受けて全国規模で急速に進んでいる。 本研究の目的は、これまでほとんど明らかにされていない被害直後に医療機関を受診した性暴力被害者に必要とされる看護ケア内容を明らかにし、得られた資料をもとに教育プログラムを開発することである。 平成29年度の計画は、若手研究B(H26-28)で得られた看護職15名の面接調査データから看護職のケア内容を具体的に抽出することであった。分析の結果、看護ケア内容として10カテゴリが抽出された。≪病院に受け入れる準備をする≫≪安心できる空間をつくる≫≪今置かれている状況を把握する≫≪主体は本人であるという姿勢を示す≫≪傷つきに配慮する≫≪円滑に診察できるよう動く≫≪診察の介助をする≫≪安全に内診を受けることができるようサポートする≫≪健康被害を最小限にする≫≪ケアをつなぐ≫ であった。本研究結果は性暴力被害者に実際に臨床で提供されている看護ケア内容を具体的に明らかにした点で意義がある。しかし、データ収集期間が2014年12月~2015年3月とワンストップ支援センター設置拡大の萌芽期であったことから、研究協力者である看護職15名の中にワンストップ支援センターと連携する産婦人科医療機関における対応経験が「ある看護職3名」と「ない看護職12名」が混在した。2017年11月1日現在、行政が関与するワンストップ支援センターは41都道府県41箇所であるが、そこで提供されている看護ケアはほとんど検討されていない。看護職をワンストップ支援センターと連携する医療機関での対応経験がある者に限定し、再度面接調査をする必要があると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度の計画は、若手研究B(H26-28)で既に得られた面接調査データを分析する計画であったこと、研究代表者は、2017年10月~2018年3月の半年間、兵庫県立大学看護学部客員研究員となり研究に専念することができたことから、当初の予定通り研究を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、平成29年度に分析を終えた面接調査結果について学会発表および論文投稿を行う予定である。 そして研究実績の概要でも述べたように、性暴力被害者のためのワンストップ支援センター設置が国の後押しを受けて全国規模で急速に進んでいる状況を鑑みると、看護ケアの質向上のため、そこで提供されている看護ケア内容を具体的に明らかにする必要があると考える。したがって、再調査のための研究計画を立案し、研究倫理委員会に研究の申請を行い承認を得た上で、再度面接調査を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、研究成果を公表するための旅費の支出を要しなかったためである。 平成30年度は成果発表を2件および論文投稿を予定しており、学会参加費・旅費・論文投稿に必要な諸経費が必要となる。さらに、再調査実施のための旅費、会議費、謝金などの諸経費が必要となる。
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Research Products
(1 results)