2020 Fiscal Year Research-status Report
性暴力被害者に対する急性期看護ケアに関する教育プログラムの開発と検証
Project/Area Number |
17K12129
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
福本 環 兵庫県立大学, 看護学部, 助教 (40650619)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 性暴力被害女性 / 看護ケア / 被害直後 / 医療機関 / ワンストップ支援センター / 面接調査 / 質的記述的研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年10月、性暴力被害者のためのワンストップ支援センター(以下支援センター)が47都道府県すべてに設置された。医療機関が被害直後の性暴力被害者に対して果たす役割は大きく、適切にケア提供できる看護職養成は喫緊の課題となっている。 研究代表者は、2018年12月~2019年9月、看護職が被害直後に支援センターと連携する医療機関を初診で受診した性暴力被害女性に対して実際に提供しているケアを明らかにし、必要とされる看護ケアを検討するために面接調査を実施した。研究協力が得られた医療機関は10か所、看護職は合計20名、全員女性であった。分析の結果、被害直後の性暴力被害女性に提供している医療機関における看護ケアとして、【安全と安心の提供】【円滑な診察のサポート】【信頼関係の構築】【心身および尊厳の回復支援】【支援の継続】の5つが抽出された。また本研究は、抽出されたケア内容が医療機関の体制の影響を受けている現状も示した。具体的には、男性医師も対応することがあった<医師が看護職に診察以外の対応を任せている>医療機関の看護職は、【安全と安心の提供】【円滑な診察のサポート】【信頼関係の構築】【心身および尊厳の回復支援】【支援の継続】の5つ全てを提供していたのに対し、女性医師のみが対応していた<特定の医師が主となって対応する>および<看護管理者が医師と協力して対応する>医療機関の看護職は、主として【安全と安心の提供】【円滑な診察のサポート】【支援の継続】の3つを提供していた。<医師が看護職に診察以外の対応を任せている>医療機関に所属する看護職が5つすべてのケアを提供できている要因として教育の影響も示唆された。したがって、より適切なケア提供し得るためには、専門的知識を身につけるための教育を充実させ、その教育を受けて専門的知識を備えた女性看護職を主体とした支援体制の構築が必要であると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究は、若手研究(H26-28)で得られたデータをもとに教育プログラムを開発する予定であった。しかし、教育プログラムで提示する看護ケア内容の質を高めるために、看護職が臨床で実際に提供しているケア内容をケアの意図性を含めて丁寧に検討する必要があると考え、再度面接調査を実施することにしたため。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は、令和2年度に分析を終えた面接調査の結果について、学会発表および論文投稿を行う予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、研究成果を公表するための学会参加費・旅費・論文投稿に必要な支出を要しなかったためである。 令和3年度は成果発表として、学会発表および論文投稿を予定しており、学会参加費・旅費・論文投稿に必要な諸経費が必要となる。
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Research Products
(1 results)