2019 Fiscal Year Research-status Report
若手看護系大学教員のキャリア開発を支援するためのキャリアパスモデルの構築
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17K12146
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Research Institution | Kio University |
Principal Investigator |
山本 裕子 畿央大学, 健康科学部, 教授 (40263272)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石原 あや 兵庫医療大学, 看護学部, 准教授 (20290364)
村井 文江 常磐大学, 看護学部, 教授 (40229943)
石村 佳代子 一宮研伸大学, 健康科学部, 教授 (40295564)
鈴木 明子 城西国際大学, 看護学部, 教授 (70241974)
山田 律子 北海道医療大学, 看護福祉学部, 教授 (70285542)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 看護系大学教員 / キャリアパスモデル / キャリア開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、看護系大学教員の質的・量的充実に貢献するために、とくにライフステージの影響を受けやすく、将来ビジョンが描きにくい若手看護系大学教員に焦点を当て、1)キャリアの実態について明らかにする、2)キャリアの実態に関する国際的な動向を明らかにする、以上に基づいて、3)キャリアパスモデル試案を開発する、4)その試案に対する評価を得て、キャリアパスモデルを構築する、ことである。研究計画は目的に則して、1)国内の若手看護系大学教員の キャリアの実態に関する質的・量的調査、2)海外での実態調査、3)キャリアパスモデル試案の作成、4)キャリアパスモデルの評価の四段階で構成している。 令和元年度はキャリアの実態を明らかにするための若手看護系大学教員のキャリア開発における困難と対処に関する質的研究について分析を進め、国内外の学会で発表した。全国の看護系大学の教員の充足状況について統計データに基づいて分析した結果は、国際学会で発表した。また、複線径路・等至性モデル(TEM)分析によるキャリアパスの検討は、TEM分析の専門家による指導を受け、分析を進めている。 さらに、これらの研究成果に関連させて国内学会にて若手教員のキャリア開発支援に関する交流集会を実施し、当事者である若手教員からは、時間に追われてキャリアアップのために必須となる研究活動にまで手が回らないジレンマや、カリキュラムの全体像がみえていないまま教育に携わっている現状への不安など語られた一方で、ベテラン教員からは組織としての取り組みの必要性に言及しながらも、若手教員の自助努力を求める声が少なくなかった。これらのことから看護教員の定着のためのキャリア開発支援の重要性と課題を明らかにすることができた。 国際的な動向調査については、令和元年度に訪問した中国の看護教育の現状から得られた看護教員のキャリア開発支援について論文にまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまで若手看護系大学教員のキャリアパスの実態、およびキャリア開発上経験している困難とその対処について質的に調査し、若手看護系大学教員はキャリア開発における組織的支援の必要性について報告した。また、キャリアパスの実態から教員としてのキャリア継続の分岐点を見出し、適切なタイミングでの支援の必要性を見出した。 現在、看護系大学における若手看護教員のキャリアの実態について量的研究の準備と並行してキャリアパスモデル案の作成を進めているところであり、進捗状況としては若干遅れている。これは研究の目的に合致した分析手法として、内容分析だけではなく、軌跡を明らかにする手法であるTEM分析に着目し。TEM分析を取り入れて対象者のキャリアパスについて1例ずつ丁寧に分析を行うこととしたため、予定よりも分析に時間を要している。これらの分析に時間を要しているが、若手看護系教員のキャリア開発上の課題について、全国規模の調査の実施に向け、研究計画が進行している。また、キャリアパスモデルの試案についても専門家からの意見聴取に向けて準備を行っている。 海外の実態については、現地調査を行ったのは中国だけであるが、その他海外の状況に関する資料分析も進んでいる。これらもキャリアパスモデル開発への有用な示唆が得られるものである。このように研究の進捗状況としては、若干遅れているが大きな問題なく進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた研究成果に基づき、キャリアパスの実態とキャリア開発において必要な支援に関して全国規模の調査の実施に向け、研究計画が進行している。TEM分析に基づくキャリアパスの試案についてはワークショップ・交流集会という形式で看護教育に携わる研究者に開示して意見交換を行い、キャリアパス開発への示唆を得る予定である。海外の実態調査のためにタイへの訪問を計画していたが、令和2年春の時点でCovid-19感染拡大の影響により、海外渡航が困難となっているため、遠隔でのインタビューの可能性を探る。 以上のように、これまでの研究成果に加えて、現在準備が進行している量的研究と専門家からの意見を基にキャリアパスモデルを開発する。 一方、これまでの研究成果について論文化に至っていないものは研究の推進と並行して論文化を進めていく。
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Causes of Carryover |
年度末に予定していた研究会議がCovid-19感染症拡大の影響にて中止となったため、少額の残金が生じたが、次年度の調査のデータ分析費用の一部として補填し使い切る計画である。
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Research Products
(7 results)