2019 Fiscal Year Research-status Report
北海道の中高層住宅で暮らす避難行動要支援者の安全な在宅避難生活システムの確立
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17K12162
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Research Institution | Sapporo City University |
Principal Investigator |
工藤 京子 札幌市立大学, 看護学部, 講師 (80452994)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 在宅避難 / 避難行動要支援者 / 中高層住宅 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、北海道の中高層住宅で暮らす高齢者や障がい者などの避難行動要支援者が、大規模地震発生時に安全な在宅避難ができるためのシステムの確立である。令和元年度は、札幌市内の集合住宅住民への北海道胆振東部地震時の調査、難病団体への防災の意識調査、マンション管理団体への調査、札幌市の避難行動要支援者名簿の管理確認であった。 難病団体が行った胆振東部地震時の体験内容のアンケート結果から、集合住宅で暮らす住民を抽出し分析した結果、最も困難だったのは停電と断水による飲料水やトイレであり、さらに水の運搬であった。食物よりも水と回答し、特にトイレに困っていた。次に多かったのは何階に住んでいてもエレベーターが使えないことで外に出られない事で、透析などの受診、仕事、買い物に支障をきたしており、これは避難場所にも行けないといえた。また、停電で携帯電話の充電が切れた以外に、電動ベッドやエアーマット等の医療機器が使えなくなり、酸素や呼吸器使用者は入院となっていた。オール電化の場合は炊事にも影響していた。地震による停電は約2日で回復しているが、難病患者は自ら行動する事や情報を得る事が困難となりやすいため、これらがさらに不安の増強にもつながっていたことが明らかとなった。 札幌市の動向としては、令和元年9月に胆振東部地震の教訓から要配慮者二次避難所(福祉避難所)設置・運営ガイドラインを作成し、福祉避難所の候補施設名を公表した。しかし、直接避難することはできず、一時避難所の避難スペースで困難ということが確認された場合となっており、停電で外に出られない人に対しては適応とならないため、在宅避難生活を充実させることは必須といえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
札幌市内の集合住宅住民への北海道胆振東部地震時の調査において、個人情報などの関係から住民調査の交渉に難渋した。そのため、難病団体の中で集合住宅に住む人へのインタビューに切り換えて、難病団体に交渉し、数名の紹介を受け承諾も得られた矢先、新型コロナウイルスの感染者が増加し、調査が一時中断となったため。
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Strategy for Future Research Activity |
遠隔でのインタビューも考えたが、対象者自身が高齢だったり難病で機器が使用できないため断念した。感染状況が落ち着き次第、調査を再開する予定である。 その際、感染予防対策を強化して、方法や時間、環境を見直して実施する。そして、地震だけでなく、今回の自粛生活における在宅生活への影響もあわせてうかがい、様々な災害時における在宅避難について調査する。
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Causes of Carryover |
予定していた調査が実施できず、旅費や謝礼、講師の派遣に関する費用が執行できなかったため、感染対策を充分に行いながら手段を工夫して実施していく予定である。 しかし、旅費や講師派遣などは新型コロナウイルス感染の影響から、移動制限があると執行できない可能性がある。
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