2018 Fiscal Year Research-status Report
医療介護職の怒り感情マネジメント教育プログラムの構築
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17K12164
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
田辺 有理子 横浜市立大学, 医学部, 講師 (20448616)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 看護学 / 感情マネジメント / 医療福祉 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、医療・介護職の感情に着目して不安や怒りへの対処に有効なアンガーマネジメントの技法を用いた教育プログラムを実施し、職員の怒り表出を指標として教育の効果を検証する。すなわち、職員が自身の感情マネジメントを習得することによって、職員間の円滑なコミュニケーションに基づく安全で質の高いケアを提供できる組織の構築を目指すことを目的としている。 初年度は、感情マネジメントの教育プログラムに関する国内外の情報収集、教育内容の精査および教材事例の抽出、教育プログラム実施準備および協力施設団体の募集、効果測定の準備及び実施を行った。 教育内容の精査と医療介護の現場で遭遇しやすい事例を題材とした教材を抽出し実施プログラムを作成し、講義とグループワークによる演習を組み合わせて半日3時間および1日5時間の教育プログラムを整備した。講義では、怒りや不安の感情が生じるメカニズム、自身の感情へ適切に対処する技法を紹介する。講義、グループワーク、全員参加で意見を出し合うプログラムを活用し、自己と他者との価値観の違いへの気づきを重視し、集団力動を活用する。グループワークでは、参加者の身近な体験を題材として事例検討を行う。 教育プログラムの効果測定として、教育プログラム実施ごとに、自記式質問紙を配布し参加者の反応を確認し、教育実施前後の変化として、研修内容の知識・技術の定着を測定する。教育実施後の職場での感情表出行動については、教育プログラム実施3か月後に郵送による事後アンケートを実施する。職員の怒り状態特性および感情表出や抑圧についてSTAXI(State-Trait Anger Expression Inventory)日本語版、ほか衝動性および攻撃性について調査する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の初年度は、教育プログラムの構築と教材事例の検討、教育プログラムの実施のための準備を計画し、2年目からプログラムと効果測定調査を実施し、おおむね予定通りに進行していると考える。本教育プログラムは、これまで5年間かけて実施修正しながら進めており、2年目となる今年度は教育プログラム用の教材として書籍を出版した。看護系団体および介護研修の企画団体のニーズが高く、研修依頼のなかから研修規模や時間の条件をそろえた教育プログラムおよび調査の実施が可能となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間を通して感情マネジメントに関する文献および国内外の研究動向に関する情報収集を継続し、最新の知識情報に基づいて教育プログラムを構築する。教育プログラムの実施と修正、効果測定を繰り返し、データを蓄積・分析し、成果を公表する。教育内容と事例については、研修参加者の体験に基づく事例を毎年検討し、職種や職位の特性を考慮して、医療・介護の事例を複数準備する。研修で提供された事例から汎用性の高いものを加工して教材を追加しながら、研修の実施、評価、修正を繰り返し、教育プログラムを確立する。 また、医療と介護のケア対象者の違い、医療職のなかでも看護師、医師、医療専門職、事務職など職種の違い、また新人、中堅、管理職など経験や職位の違いにより、事例や教育プログラムの配分を調整しながら、対象者ごとの個別性と、効果測定の統一性のバランスを検討する。 次年度は、教育プログラム実施と効果測定を進め、データ収集を完了したいと考える。対象者は、教育プログラムを受講者のうち教育前後の調査について協力の意思を確認できる者とし、各回の実施において半数程度の回収を目安とする。回答は個別の郵送とする。医療機関および介護施設の職種ごとにデータを蓄積しながら教育前後の変化を統計的に分析し、効果を検証する。
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Causes of Carryover |
今年度情報収集のために計画していた国際学会が大学業務の都合で参加できなかったことから、一部次年度に経費を繰り越した。次年度は、教育プログラムの実施とともに評価のための調査を継続する予定であり、十分な人数のデータを確保するため、調査費用に充当したい。
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