2018 Fiscal Year Research-status Report
過疎高齢化地域の中小規模病院における感染管理体制の構築と費用対効果に関する研究
Project/Area Number |
17K12166
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Research Institution | Yamanashi Prefectural University |
Principal Investigator |
平尾 百合子 山梨県立大学, 看護学部, 教授 (50300421)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高取 充祥 山梨県立大学, 看護学部, 助教 (60781383)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 院内感染予防 / 環境清拭 / 中小規模病院 / 過疎高齢化地域 / 感染管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
過疎高齢化地域の中規模病院において、不十分な手指衛生からの環境汚染による感染拡大防止を目的に環境清拭に関する実践者へのインタビュー調査と清拭方法確立のための細菌学的検討を行った。インタビュー結果では「綺麗なのか、何枚使ったらいいのか分からない」等【不明瞭な環境清拭の効果と方法】、「道具が整ってない」「人手不足で忙しい」等の【ファシリティマネジメントの課題】、「必要性がわからない」「忙しい日はさぼる」等の【実践者の問題行動】という3課題が得られた。【不明瞭な環境清拭の効果と方法】については実施方法の確立が、【ファシリティマネジメントの課題】では物品整備・業務整備が、【実践者の問題行動】では実施方法の効率化が必要であった。環境清拭の重要性を認識させるには環境汚染の視覚化教育が効果的であった。環境清拭方法の細菌学的検討では、第四級アンモニウム塩の環境クロスはアルコールの環境クロスに比べ即効性が劣っていた。実施方法は一方向に拭い去り、汚染面に触れないようクロス面を変えて清拭し、使用後は手袋と共に廃棄するのが最も効果的であった。環境クロス1枚を二つ折りにし手掌全体で拭く場合はオーバーベッドテーブル約2面分まで消毒可能と算出された。二酸化塩素溶液は直接的な噴霧による消毒が効果的であり、空気やガーゼに触れることで消毒効果が落ちるため推奨されているスプレー方式の遵守が重要であった。 その他、過疎高齢化地域の急性期中規模病院における感染症疑い患者に対する看護師3名の認識を調査した結果では、他の入院患者への【感染拡大の防止】を念頭に、感染対策の知識・技術を基に【実践者の予防行動】の必要性を認識し、自らが感染源とならないよう【感染予防行動】しながら、【感染拡大の防止】のための個室隔離による認知症悪化や患者・家族への心理社会的悪影響に対し【患者・家族への気遣い】を持った看護実践を大切にしていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度までの研究成果を積極的に発表すべく、関連分野の学術集会での発表や学会誌への投稿を準備している段階である。また、研究協力者との連携も良好に行われており、おおむね順調に進展している。 研究協力者の勤務異動に伴う対応ついては、会議・打ち合わせ回数を減らすようメールや電話での連絡を密に実施すると共に、状況に合わせて研究方法や調査地域・施設を変更することで対応できている。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度までに感染防止対策マニュアルを試験的導入した3病院2老健施設については、その効果を最終調査すると共に、これまでの研究成果を関連学会の学術集会や学会誌に発表していく予定である。また、感染管理体制の構築に関連した費用対効果については、今後も調査を継続していく予定である。
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Causes of Carryover |
物品購入における購入時の割引や交通費の節約に加えて、これからの学会発表に関連した旅費や参加費、学会誌への投稿で生じるであろう必要経費を見込み、できるだけ次年度に費用が繰り越せるよう調整をした。 今後は研究成果を積極的に公表するために繰り越した経費をあてる予定である。また、次年度分の助成金に関しては、研究協力施設の3病院2老健施設での感染管理体制に関する最終的な調査で使用する予定である。
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