2017 Fiscal Year Research-status Report
重度な障がいのある人がどこでも安心して暮らせるための看護支援プログラムの開発
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17K12168
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
窪田 好恵 滋賀県立大学, 人間看護学部, 准教授 (20635148)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大西 香代子 甲南女子大学, 看護リハビリテーション学部, 教授 (00344599)
立岩 真也 立命館大学, 先端総合学術研究科, 教授 (30222110)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 重度な障がい / くらしの中の看護 / 重症児施設 / 福祉職との協働 / 看護支援プログラム |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度の計画は、長年にわたって重症児者施設内で行われてきた療育における看護の「知」を明かにすることである。重症児者施設に勤務してきた看護師のインタビュー調査の結果はこれまでに調査した事例を含めて看護師16名のインタビュー調査の結果を博士論文の一部としてまとめた。インタビューから明かになったことは、看護師が重症児者施設を選択する決め手となるのは障がい者との接点があること、重症児者施設の就労継続はキャリアのある時点で「くらしの中の看護の再定義」がおきることであり、看護師の就職した時期により看護の再定義のおき方が異なるということであった。重症児者施設が創設されて約50年が経過したが、その間に社会背景や法制度が変遷し、入所者は小児の時代から成人期または老年期へと変化した。また、福祉職と協働するという場の特徴が長年勤務する看護師と新人看護師の職業的アイデンティティに影響していた。医療が機能分化し看護教育も高度化した医療への対応に求められる能力を育成することが中心になってきた現在、くらしの中の看護を「これでいい」と看護師が思えるまでには、先輩看護師たちが培ってきた重度な障がいのある人への向き合い方をじっくりと学ぶ機会が必要である。また、看護実践の特徴は、重度な障がいがあり反応が少ない対象にゆっくりとした成長・発達を信じてかかわることや、観察力・洞察力の必要性があることであり、看護師たちは重症児者への愛情や使命感をもってかかわっていた。これは、地域で生活する重度な障がいのある人への看護に欠かせない看護の「知」であると考える。 さらに、その内容をふまえて、医師3名と障がい者の親2名のインタビューを行った。現在はインタビュー分析を行っている段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理由は、重症児者施設に勤務する看護師へのインタビュー調査の分析が終了し、重症児者施設で実践されてきた看護の「知」が明らかになったこと。また医師3名のインタビューと障がい者の親2名へのインタビューが終了したことである。 また、重症児者施設の複雑な入所基準について調査したので平成30年度に学会発表する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度に行った医師のインタビュー分析は1例のみ終了したが、他の2名の分析ができていない。 平成30年度の計画である在宅における障がい児者の実態調査にあたり、対象となる訪問看護ステーションおよび重症児者の主たる介護者が、まだ確定しておらず依頼ができていない。早急に決定し依頼をする予定である。
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Causes of Carryover |
今年度の調査のための旅費が少なかったこと、また、次年度さらにデータを収集する必要があり、その費用にあてるため。
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