2018 Fiscal Year Research-status Report
重度な障がいのある人がどこでも安心して暮らせるための看護支援プログラムの開発
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17K12168
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
窪田 好恵 滋賀県立大学, 人間看護学部, 准教授 (20635148)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大西 香代子 甲南女子大学, 看護リハビリテーション学部, 教授 (00344599)
立岩 真也 立命館大学, 先端総合学術研究科, 教授 (30222110)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 重度な障がい / くらしの中の看護 / 重症児施設 / 福祉職との協働 / 看護支援プログラム |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度の研究実施計画は、研究目的の[2]在宅における障がい児者看護の実態を明らかにするために、訪問看護ステーションの看護師および在宅で訪問看護を利用している重症児者の介護者を対象にインタビューを行うことであった。今年度行った調査は、重症児施設で初めて粘土あそびを取り入れたびわこ学園の「粘土室の取り組み」である。粘土に触れるという体験から快の刺激が生まれ、それが日々の生活リズムや主体性へとつながり、重症児者のくらしが豊かなものになることがわかった。その結果は台湾で行われた「2018EAST ASIA DISABILITY STUDIES FORUM」において、Children (persons) with disabilities and clay」というテーマでポスター発表した。 また、これまでの研究成果を以下のとおり発表した。9月28日・29日に東京都で行われた第44回重症心身障害学会でのシンポジウムで、「福祉職と協働でくらしを支える看護のありよう」を発表した。6月29日に愛知県立医療療育総合センターで「重症心身障害児者施設の歴史的背景と看護のありよう―くらしの中で福祉職と協働する看護の再定義」、2019年2月23日に、北九州市立総合療育センターで「重症児・者の生活を支える協働―歴史的背景と看護の視点から」の講演を行った。さらに、前年度、博士論文を加筆修正して『くらしのなかの看護―重い障害のある人に寄り添い続ける』を出版した。博士論文は本研究の一部でもあるため、研究成果の公表につながるものである。 以上のことから、研究目的[1]長年にわたって重症児者施設内で行われてきた療育における看護の「知」を明らかにする。その「知」を継承・継続するために必要な要因を明らかにすることは達成できた。しかし、研究目的[2]についての調査は遅れている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
今年度は、前年度までに明らかになった研究成果の発表に留まり、平成30年度に予定していた在宅関係者への調査が終了していない。その理由として、調査結果の一部である博士論文を立命館大学大学院課からの出版助成金を受け書籍として出版したため、出版準備に多大な時間を要したためである。また、重症児施設で初めて「粘土遊び」を取り入れたびわこ学園における取り組みを調査し、台湾で行われた「2018EAST ASIA DISABILITY STUDIES FORUM」において、Children (persons) with disabilities and clay」を発表し、第44回重症心身障害学会でのシンポジウムや、愛知県立医療療育総合センター・北九州市立総合療育センターでの講演を行った。その準備にも時間を要した。 次の段階である、目的[2]の在宅における障がい児者看護の実態を明らかにするために、訪問看護ステーションの看護師および在宅で訪問看護を利用している重症児者の主たる介護者を対象にした調査は、主たる介護者2名のインタビュー調査を行ったのみで、それ以上の調査が進んでいない。早急に調査を進めて行きたい。また、次年度は最終年度であるため、その調査結果も含めて国内外での発表も行っていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の計画[1]の段階には達することができた。今年度は、次の段階である[2]の在宅における障がい児者の看護実態と訪問看護利用者および介護者のニーズを明らかにすること、[3]社会学的な視点から分析を加え、看護がつなぐ施設ー地域ー病院への障がい児者支援プログラムの開発にむけて、早急に調査を進める必要がある。まずは在宅における重症児者の実態を把握するために、訪問看護ステーションの看護師および主たる介護者を対象にインタビューを行う。 研究の推進のために共同研究者会議をもち、今後の研究の進め方について協議する予定である。
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Causes of Carryover |
理由としては、今年度予定していた調査を次年度実施する予定であるため、データ収集および分析をするための費用が必要である。また、最終年度として国内外で公表するための費用が必要である。 使用計画としては、調査交通費、テープ起こしの費用、英文校閲料、学会発表のための参加費および交通費(日本重症心身障害学会、日本看護科学学会)、海外の学会発表に伴う費用を予定している。また、共同研究者会議を予定している。
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Research Products
(6 results)