2019 Fiscal Year Research-status Report
看護におけるinvolvement(かかわり)モデルの構築と検証
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17K12169
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
牧野 耕次 滋賀県立大学, 人間看護学部, 准教授 (00342139)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
比嘉 勇人 富山大学, 学術研究部医学系, 教授 (70267871)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 専心 / M-GTA / 患者-看護師関係 / インボルブメント / ケアリング / spirituality |
Outline of Annual Research Achievements |
目的:患者-看護師関係において,かかわったり,巻き込まれたりすることであるインボルブメントの概念属性として,牧野・比嘉(2019)は「患者に専心する」をカテゴリーにあげている.専心とは,そのことだけに心を注ぐこと(新村,2018)であり,看護師が患者に専心することは,看護において基本となる重要な要素である.一方,臨床の現場では,高度に専門化された医療や医療事故防止対策,入院期間の短縮による重症患者のケアなどにより,患者-看護師関係における看護師の専心に多様で多重な負荷がかかる状況にある.そこで,本研究では患者-看護師関係における看護師の専心のプロセスを明らかにする. 方法:総合病院に勤務する看護師12名に半構成インタビューを実施し,M-GTAを用いて分析した. 結果:分析の結果,患者-看護師関係における看護師の専心として,1個の【コアカテゴリー】,7個の《カテゴリー》,34個の〔概念〕が生成された.以下に,患者-看護師関係における看護師の専心のプロセスについて,そのストーリーを述べた. 看護師は《生活者との関係構築》に集中し,《患者の思いへの配慮》に心を注ぎ,《患者の思いへの対応》に専念していた.その過程で《看護師の感情的反応》も経験していたが,《患者-看護師関係の維持》を行い《個別的なケア》に集中していた.以上のように,看護師は基本的に《患者を中心とすることに》専心しようとしていた.このプロセスを【流動的専心】としてとらえた. 結論:《看護師の感情的な反応》を専心に内包し,一連の流れを《個別的なケア》へのプロセスとすることで,看護師は自身の感情を含めた状況をより把握し理解することが可能となり,ケアリングは一時的ではあるが非治療的であり得ることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルスの影響により,研究協力施設とのやりとりにさまざまな物理的な影響を受けているが,相互の信頼と研究協力施設の配慮があるため.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究により,看護におけるインボルブメントの概念分析を用いてキー概念である専心が抽出され,今回,質的研究アプローチにより臨床看護師の専心が明らかとなった.今後は,量的研究アプローチを用いた尺度化より,臨床看護師の専心を測定可能な概念として明らかにしていく.
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Causes of Carryover |
尺度開発に向けての研究準備を行う予定で予算立てを行ったが,新型コロナウイルスの感染拡大の影響で,他の業務に忙殺され,次年度に持ち越されたため.
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