2017 Fiscal Year Research-status Report
看護師長・主任のコンピテンシーモデルと尺度開発による看護管理の質の指標化・共通化
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17K12173
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Research Institution | Hokkaido Bunkyo University |
Principal Investigator |
井上 仁美 (小野坂仁美) 北海道文教大学, 人間科学部, 准教授 (70284403)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 看護中間管理者 / 看護師長 / 主任 / コンピテンシー / 看護管理実践 / 尺度開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究者はこれまで主に看護中間管理職である看護師長を対象として、そのコンピテンシー(本研究のこれまでの研究では、コンピテンシーを一貫性をもって示される行動や思考の方法と概念定義していた)を明らかにするべく、面接調査およびそのデータを元に質問紙を作成し、全国の病院を対象にした調査を平成27年1月~3月に実施し、得られたデータについて、一元配置分散分析と多重比較および探索的因子分析を行い「看護中間管理者のコンピテンシー」を特定した。さらに、これらのデータを用い共分散構造分析を行った結果、「振り返り」と「看護中間管理者のコンピテンシー」は「振り返り」を原因とし、「看護中間管理者のコンピテンシー」を結果とする一方向の因果関係が認められた。また、管理実践の動機として「管理をすることが楽しい」「スタッフを育成することがおもしろい」などの看護管理への直接的な意欲が動因として、各因子への一方向の因果関係があることも明らかとなった。 しかし、コンピテンシーの本来の概念は「高い成果を実現できる」ことが要件であるため、これまでの知見をベースに看護管理実践における「高い成果」について、平成29年度は文献を中心に検討してきた。 また、新たに対象を主任にすることで、質問紙を作成するための面接調査を平成29年度に実施している。 これらのデータをもとに、看護師長に対しては質問紙の信頼性・妥当性を確保するべく調査を準備中である。また、主任職に対しては主任職の職務内容および高い成果についてのデータ収集および質問紙案作成を行っており、平成30年度はこれら作成した質問紙を用いてパイロットスタディおよび全国の病院を対象とした調査を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績の概要でも述べたように、コンピテンシーの本来の概念は「高い成果を実現できる」ことが要件であるため、これまでの知見をベースに看護管理実践における「高い成果」について、平成29年度は文献を中心に検討してきた。 しかし、看護管理実践における「高い成果」についての一定の知見がなく、自己評価による尺度(「看護管理のための自己評価指標 日本版ミニマムデータセット」がすでに開発されているが客観的指標については現在のところ認められていない。そのため、本研究で作成した質問紙を修正するための指標を新たに作成しなければならない状況に陥っている。 また、新たに対象を主任にすることで、質問紙を作成するための面接調査を平成29年度に実施しているが、看護師長の場合と同様に主任職にとっての「高い業績」についても検討する必要があり、質問紙案作成については時間が当初より必要である。 以上の理由により「やや遅れている」状態であると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要でも述べたようにこれらのデータをもとに、看護師長に対しては質問紙の信頼性・妥当性を確保するべく調査を準備中である。また、主任職に対しては主任職の職務内容および高い成果についてのデータ収集および質問紙案作成を行っており、平成30年度はこれら作成した質問紙を用いてパイロットスタディおよび全国の病院を対象とした調査を行う予定である。
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Causes of Carryover |
本年は当初の予定であった全国の病院を対象とした調査が、質問紙案作成のために文献検討が中心となったため支出がなく、次年度に調査を実施することにした。文献についてはこれまでに収集した文献および著書を用いたために支出しなかった。 また、主任職に対しておこなった面接調査についても機器類等はこれまでに使用した物品を使用したために実質的な支出がなかった。 以上の理由により、平成29年度に予定されていた交付額を平成30年度の交付予定額と合わせて使用する予定である。
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