2019 Fiscal Year Research-status Report
Construction of Antineoplastic Drug Exposure Prevention System for Family of Patients Who Receive In-house and Outpatient Chemotherapy
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17K12189
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Research Institution | Ichinomiya Kenshin College |
Principal Investigator |
白鳥 さつき 一宮研伸大学, 看護学部, 教授 (20291859)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大石 ふみ子 聖隷クリストファー大学, 看護学部, 教授 (10276876)
葉山 有香 同志社女子大学, 看護学部, 講師 (30438238)
山幡 朗子 愛知医科大学, 看護学部, 准教授 (40440755)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 外来がん化学療法 / 看護師 / 患者・家族 / Hazardous Drugs / 抗がん薬曝露予防 / 閉鎖式薬物移送システム / 生物学的安全キャビネット |
Outline of Annual Research Achievements |
近年のがん化学療法(薬物によるがん治療)の進化は,在宅または外来における化学療法を可能とし,患者・家族の生活の質の向上に寄与した。しかし,抗がん薬は危険薬(Hazardous Drugs: 以下HD)であり,取り扱う医療従事者や家族に影響をおよぼすリスクを回避する「安全性の確保」という問題が生じた。そこで,本研究は「在宅および外来でがん化学療法を受ける患者と家族の抗がん薬曝露予防の教育システム」の構築を目的とした.2019年は「病院におけるHD曝露予防の実際」について全国の看護師を対象に郵送法による質問紙調査を実施し,「患者・家族への曝露予防教育」についてはがん看護専門看護師4名にグループインタビューを実施した。質問紙調査は日本病院会に登録されている2484施設から620施設を抽出し,許可を得た看護師1544名とした。結果,761部を回収(回収率49.3%)し758部を分析対象とした(有効回答率99.6%).女性が96%を占め,年代は40歳代が42.6%と最も多かった。抗がん薬曝露予防マニュアルは82.1%が整備していると回答したが,65%が「HDに曝露していると思う」と回答した。患者・家族への曝露予防教育は22.0%が必ず行うと回答した。抗がん薬を患者に投与する業務に携わっているのは96.9%で,本来薬剤師の業務である抗がん薬を調剤しているのは7.2%(54名)であった。調剤に携わる看護師54名中,HD曝露を防ぐ「生物学的安全キャビネット」内での調剤は53.7%,二重の手袋着用は50%であった。HDを経静脈注射・点滴投与の際に曝露を防ぐための器具(閉鎖式薬物移送システム)を使用しているのは全体の35%であった。グループインタビューの分析結果は,医師や薬剤師など多職種間の認識の差や教育を受けた患者・家族の「自分が汚いモノ扱いされる」などのネガティブな反応が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
質問紙調査やグループインタビューが遅れていたため,第2段階である患者・家族を対象とした調査が遅れた。東海地方のがん診療拠点病院の外来がん化学療法を受けている患者の紹介を受けるにあたり,病院の倫理審査がスムーズに進まなかったこともあり、調査がさらに遅れた。また,患者から承諾を得ても家族から拒否されたり,予定していた患者の病状が悪化するなどの予期せぬトラブルも発生した。また,Covid-19感染拡大の影響も大きい。これらの理由で調査が遅れているが,Covid-19感染拡大の影響が収まったら調査を再開する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
医療従事者の抗がん薬曝露対策に関する調査から,看護師がいまだ十分な安全対策を実施できていないことが明らかになった。また,患者・家族への曝露予防教育については,医療従事者がチームとなって対応する必要がある。しかし,一部には曝露予防に関する認識の低い医師の存在や患者や家族のネガティブ反応から具体的な行動に踏み込んだ教育が実施できていないことが明らかとなった。今後の方策については,化学療法を受けている患者と家族に焦点を当て,日常生活における曝露対策の実際を面接法によって調査する予定である。許可が得られれば,家庭訪問を行い,具体的行動の観察を計画している。外来でがん化学療法を受けている患者・家族の紹介を受けるにあたり,患者の病状や家族の受け入れ状況が課題となっており,予定通りに調査を進められない状況がある。そのため,さらに対象施設を広げることを検討する。
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Causes of Carryover |
2019年度は患者・家族を対象とした面接法による調査と家庭訪問を計画していたが、患者紹介を依頼した病院の倫理審査が大幅に遅れたことが理由である。また、紹介された患者の家族の承諾が得られなかったケースや患者の病状が悪化したなどの予期せぬ事態が生じたため、実際の調査に取るかかることができなかった。
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