2017 Fiscal Year Research-status Report
夜勤時間制限と休日配置が看護師の安全,健康,生活の質に及ぼす影響の検討
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17K12205
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Research Institution | National Institute of Occupational Safety and Health,Japan |
Principal Investigator |
松元 俊 独立行政法人労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所, 過労死等調査研究センター, 特定有期雇用職員 (20342686)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 夜勤時間制限 / 休日配置 / 医療安全 / 健康 / 生活の質 / 看護労働 |
Outline of Annual Research Achievements |
医療技術の深化に伴う患者の高齢化や、人手不足による看護師の勤務負担増が懸念される。特に長時間労働による負担は、これまで主に2交代制と3交代制の比較といった勤務制の点から検討されており、1回の夜勤時間の長さに焦点があてられてきた。しかし、交番表により月単位で変化する夜勤回数からみた夜勤時間の影響については明らかにされていない。現在、看護師の1か月間の夜勤時間は72時間以下となるように診療報酬において実質的な上限があるものの、その科学的根拠は明らかになっておらず、多様な交代勤務編成における夜勤回数と配置、疲労回復機会となる休日配置も考慮した上で労働負担を評価する必要がある。 本研究を行うため、調査協力看護師を、夜勤種別が8時間3交代、16時間2交代、12時間2交代の3条件、設置主体が公立、私立の2条件、病院機能が急性期病棟、地域包括・回復期リハ病棟の2条件、病院規模が200床未満と200床以上の2条件、年齢階層が20歳代、30歳代、40歳代の3条件で抽出し、約600人を対象に調査を行った。調査は、1回のアンケートにより所属先での勤務状況(所属先基本情報、勤務制、夜勤回数、仮眠・休憩・休暇取得状況、1か月間の交代勤務スケジュールなど)、個人属性(年齢、性別、家族構成など)、生活、健康状況(睡眠状況、朝型・夜型、薬の服用、受診歴、食習慣)をたずねた。また、2週間の生活時間調査(生活行動を14項目に分けて、それぞれの活動時間、タイミングを日誌形式でたずねた)、疲労感(起床・就床時における自覚症状しらべ)調査を行った。調査結果については、現在データ入力および解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に従いおおむね順調に進展している。看護職場に多く見られる3つの夜勤種別(8時間3交代、12時間2交代、16時間2交代)について、当初は1年ごとに1つの夜勤種別を対象とした調査を行う予定であったが、1年目に3つの夜勤種別を対象とした調査を同時に行うことができた。また、協力者数も計画より多くなったため、測定内容はアンケートを中心としたものに変更し、心理的、行動的側面について調査を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
看護労働の夜勤における、眠気解消、疲労回復策としての仮眠の効果はこれまでの知見でも確認されている。また、シフトの組み合わせによる勤務間隔の短い条件で睡眠時間が短くなることが報告されている。とりわけ2交代制における長時間夜勤では、実際に夜勤中に仮眠が取得されていることが多いものの、1か月の夜勤時間制限と勤務・生活場面における睡眠との関係については明らかにされていない。本研究では、今後は客観的な方法による睡眠実態把握により、夜勤時間制限の安全性、健康性に及ぼす影響を検討する。
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Causes of Carryover |
調査内容および実施時期の変更により、睡眠測定用に計上されていた物品費、人件費・謝金の支出がなかったため次年度使用額が生じた。この睡眠測定は次年度に行う計画としており、使用目的に変更は無く、次年度使用計画にも変更はない。
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