2018 Fiscal Year Research-status Report
2型糖尿病患者におけるセルフスティグマ低減教材の効果検証
Project/Area Number |
17K12240
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 明日香 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 客員研究員 (60756360)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 2型糖尿病 / スティグマ / 教材 / 実行可能性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、私たちが開発した、2型糖尿病患者のための「セルフスティグマ低減」教材(平成27~28年度文部科学省科学研究費補助金「研究活動スタート支援」(15H06910)研究代表者:加藤明日香)を、今後の臨床応用へと発展させるため、次の3つの研究により効果検証することを目的とする。計画している具体的な研究項目は、3部から構成されており、①「セルフスティグマ低減」教材の実行可能性の検討をするため、2型糖尿病患者を対象に「セルフスティグマ低減」教材を視聴、前後に質問紙調査を行った上で、その分析結果をもとに、②半構造化面接を実施し、患者のナラティブ(語り)を追加収集、同教材を改訂した後、③「セルフスティグマ低減」教材の効果検証を行うため、同教材のランダム比較介入研究を実施、患者のセルフスティグマの状態の低減を比較することである。 平成30年度は、平成29年度に引き続き、研究項目の第1部である、同教材の実行可能性を明らかにすることを目的として、2型糖尿病患者を対象に同教材を視聴いただき(毎週1テーマずつ計10週間追跡の前向き研究)、その前後に自己記入式質問紙調査を行った。なお、質問紙調査実施にあたっては、東京大学医学部倫理委員会(倫理審査承認番号11728)にて承認を得た。対象者は、東京大学医学部附属病院糖尿病代謝内科に入院加療中で、同科が開催している「病棟糖尿病教室」に出席した、20~65歳までの2型糖尿病患者成人男女であった(以下、研究参加者とする)。同教材の量的評価項目として、セルフスティグマ尺度(SSS-J)、健康管理への積極性評価尺度(PAM-13)、セルフケア行動評価尺度(J-SDSCA)、ヘモグロビンA1c値について、自己記入式質問紙にて回答を得た。さらに、同教材の質的評価として、教材に関する親和性や有用性について、研究参加者より自由な意見や感想を回答いただいた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「セルフスティグマ低減」教材の実行可能性を明らかにするための分析に必要となる症例数の確保に難渋し、当初計画していた研究進捗にやや遅れが生じた。主な理由は、第一に、選択基準に該当する2型糖尿病患者のリクルートが困難であった。これは、除外基準である66歳以上の高齢患者が想定していた以上に多かったためであった。第二に、たとえ研究参加に同意が得られた場合にも、選択基準である65歳以下の患者の多くは、現在仕事をしており、退院後職場へ戻り、治療と仕事を両立しながらの本研究への継続参加協力(10週間にわたる教材全10テーマ視聴)が想定していた以上に困難であったケースがあったためであった。しかしながら、平成30年度内に、同教材の実行可能性を明らかにするための分析に必要となる症例数が十分得られたため、教材視聴前後の自己記入式質問紙調査の実施、データ収集、分析はすべて終了することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成31年度は、平成30年度に実施した教材視聴前後の自己記入式質問紙調査データ分析により特定された同教材の改善点を中心に、半構造化面接を実施し、患者のナラティブ(語り)を追加収集、同教材(動画)の改訂版を制作する。また、教材の改訂版制作と並行して、平成32年度以降に実施計画している、同教材の大規模ランダム比較介入研究実施を成功させる最善の方策として、各研究参加者の教材視聴ペースにあわせた、教材動画の自動配信(週1回1テーマずつ全10テーマ:最短で10週間で視聴完了)、視聴依頼に関する自動催促、教材視聴履歴データの自動収集など、電子媒体を利用した教材視聴管理システムおよびデータ収集のためのプログラミングも開発していく。それによって、治療と仕事を両立しながら、各自宅で10週間にわたる本研究への参加協力が無理なく続けることができるよう、研究参加者である2型糖尿病患者をサポートしていくことも、本研究の推進には重要である。
|
Causes of Carryover |
平成30年度は、教材視聴前後に実施した自己記入式質問紙調査より得られた回答データを分析し、その結果をもとに「セルフスティグマ低減」教材動画を改訂、制作するまでを計画していた。しかしながら、同教材の実行可能性を明らかにするための分析に必要となる症例数の確保に難渋し、当該年度中に教材視聴前後の自己記入式質問紙調査実施および回答データ収集は無事に全完了できたものの、その結果をもとにした教材動画改訂までには至らず、教材動画の改訂版制作費として、次年度使用額が生じる結果となった。
|
Research Products
(2 results)