2019 Fiscal Year Research-status Report
化学療法中の就労乳がん患者のセルフケア能力評価尺度の開発
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17K12252
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Research Institution | Miyagi University |
Principal Investigator |
鈴木 敦子 宮城大学, 看護学群(部), 講師 (60527901)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 俊子 聖路加国際大学, 大学院看護学研究科, 教授 (60325933)
菅原 よしえ 宮城大学, 看護学群(部), 教授 (60315570)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 乳がん / 化学療法 / セルフケア / 就労 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度は、前年度に作成した「就労乳がん患者のセルフケア能力を評価する質問紙原案(67項目)」について、20歳以上65歳未満、病名を告知され初期治療で化学療法(細胞障害性抗がん剤および分子標的治療薬の投与を含む)を実施中の乳がん患者10名にプレテストを実施した。回答の所要時間から質問紙使用の実用可能性、回答しづらい項目および無回答項目の有無と理由から、質問項目の表現の適切性を検討した。その結果、回答所要時間は10分程度であり、無回答項目はなかったが、一部の質問項目の表現がわかりにくく回答がしづらい項目があった。そのため、乳がん看護に携わる看護師、質的研究者、尺度開発の専門家らのスーパーバイズを受け、研究プロセスの第1段階で実施した面接調査の結果から、乳がん化学療法を受ける患者の就労継続にかかわるセルフケア能力の構成概念について再度分析を行い、質問項目の修正と内容妥当性について検討を行った。また、検討の際には、質問項目数が67項目と多数に及ぶため、回答者への負担と実用可能性を踏まえ、1つの構成概念につき5~10の項目数を目安に質問項目を精選しながら、内容妥当性の再検討を行った。 検討の結果、「乳がん化学療法を受ける患者の就労継続にかかわるセルフケア能力を評価する質問紙」として、計50項目の質問紙を作成した。回答は5段階のリッカートスケールにより、「はい」、「どちらかというとはい」、「どちらともいえない」、「どちらかというといいえ」、「いいえ」とした。次年度は、作成した質問紙の弁別力、妥当性(基準関連妥当性・構成概念妥当性)、信頼性を検証するため、20歳以上65歳未満の診断時から就労している乳がん患者で、治療期の化学療法(細胞障害性抗がん剤および分子標的治療薬の投与を含む)を体験し、6か月以内の者を対象とし、無記名自記式質問紙調査法による本調査を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
化学療法中の就労乳がん患者という対象特性を踏まえたセルフケア能力評価尺度を開発するという目的をより精緻に達成していくため、プレテストの結果を踏まえ、質問項目の内容妥当性の検討に時間を要した。また、内容妥当性の検討時期は、研究者の学内業務の多忙により当初の研究計画が遅延した。 さらに、本調査のデータ収集開始時期がCOVID-19の感染流行が拡大した時期と重なったことから、調査に協力をいただく予定であった施設が協力困難な状況となり、令和元年度中の調査は実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は、作成した質問紙の構成概念妥当性、基準関連妥当性、信頼性の検証を行うために本調査を行う。今後の推進方策は、本調査の実施を最優先とする。すでに研究者所属組織の研究倫理審査の承認は得られているが、COVID-19の感染流行の影響を鑑み、流行の少ない地域への調査依頼や、研究フィールドをさらに開拓しながら調査に協力が得られる施設に依頼を行っていく。研究協力施設の医師や看護師と十分に連携を図りながら調査を実施する。また、データの分析においては、乳がん看護や化学療法看護に携わる看護師、尺度開発や量的研究の専門家らにスーパーバイズを依頼し、専門的知識の教授や助言の依頼を行う予定である。
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Causes of Carryover |
令和元年度は、作成した質問紙の妥当性、信頼性を検証するため本調査を行う予定であったが、質問項目の再検討に時間を要した。そのため、調査に必要となる人件費、謝金、旅費、消耗品等の経費の使用が減少した。次年度使用額は、本調査を実施するため、人件費、謝金、旅費、消耗品等の必要経費として使用する。また、当該研究を取り巻く研究情報を得ること、研究結果の社会への発信を行うため学会参加費や旅費として使用する。
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