2018 Fiscal Year Research-status Report
慢性呼吸器疾患患者のアドバンスケアプランニングを実現する看護支援プログラムの開発
Project/Area Number |
17K12264
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
樋野 恵子 順天堂大学, 医療看護学部, 准教授 (30550892)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 きよ子 順天堂大学, 医療看護学部, 特任教授 (50212361)
高谷 真由美 順天堂大学, 医療看護学部, 先任准教授 (30269378)
鵜澤 久美子 (桑江久美子) 順天堂大学, 医療看護学部, 助教 (50635167)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 慢性呼吸器疾患患者 / エンドオブライフ / アドバンスケアプランニング / 看護支援プログラム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、わが国における慢性呼吸器疾患患者に特化したアドバンス・ケア・プランニング(ACP)実現のための看護支援プログラムを開発することを目的とする。 2018年度は、終末期ケア戦略やゴールド・スタンダード・フレームワークなど、終末期医療の質の向上を目指した国家政策が充実している英国を訪問し、ACP実践における現状と課題についての情報収集を実施した。 今回訪問したのは、イングランド中心部に位置する国立大学である。そこで、緩和ケア施設の見学、終末期医療研究者とのディスカッション、看護実践者へのインタビューを行った。ACP実践における現状と課題について、以下のような語りがあった。英国では治療の選択肢が少ないため、意思決定に迷うことは少ない。呼吸器系や循環器系の慢性疾患患者は、綿密なACPを嫌がる傾向があり、実際には自宅と病院どちらで亡くなるかを決めることが中心となっている。慢性疾患の終末期は予測不能であり、いつACPを進めていくかが困難である。すべての患者が緩和ケアのニーズを持っているが、看護師は病状の早い段階で会話を進めていくことに不安を感じている。ACPのメリットは、ツールがあることで切り出しにくい話題に触れる機会を得ることができることである。デメリットは、すべての患者にACPが実施されていても、業務のひとつとしての情報収集に終わってしまう場合があることである。一人ひとりの看護師が熟練したコミュニケーターであることが重要である。そのために、専門的な看護師教育が必要となっている。 以上、ACPの取り組みが進んでいる英国における現状と課題を知ることができた。今回得た知見をもとに、次年度は日本におけるACP実践の現状を把握するために、患者、看護師へのインタビュー調査を予定している。そして、日本の文化的背景に適応した看護支援プログラムの作成へと繋いでいきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題2年目となる今年度は海外での聞き取り調査を計画していた。当初の計画に沿って、英国におけるACP実践の現状と課題についてインタビューを含めた情報収集を実施することができた。得られた知見は大変意義深く、今後の研究に反映することができると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策として、次年度は、英国での調査において明らかとなったACP実践における現状と課題を踏まえ、慢性呼吸器疾患患者と病院・在宅看護師へのインタビューガイドを作成する。倫理審査を経て、インタビュー調査を実施する。得られたデータを質的帰納的に分析する。その結果と概念分析によって得られた結果とを統合し、日本においてACPを実践するための具体的な計画について検討する。
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Causes of Carryover |
今年度実施した海外への聞き取り調査は、当初の計画では研究分担者も同行する予定であったが、勤務の都合上調整がつかず同行することができなかったため次年度使用額が生じた。翌年度分として請求した助成金と合わせ、インタビュー調査にかかる費用や研究成果を公表するための国際学会旅費、研究遂行に必要な物品購入費として使用する計画である。
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