2018 Fiscal Year Research-status Report
自発性を賦活させる熟練看護師の看護実践を支える暗黙知の解明
Project/Area Number |
17K12279
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Research Institution | St. Mary's College |
Principal Investigator |
小浜 さつき 聖マリア学院大学, 看護学部, 講師 (20580731)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日高 艶子 聖マリア学院大学, 看護学部, 教授 (50199006)
西口 宏美 東海大学, 情報通信学部, 准教授 (40212120)
宮林 郁子 福岡大学, 医学部, 教授 (40294334)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 自発性低下 / 看護実践 / 暗黙知 / リハビリテーション看護 / 高次脳機能障害 / 熟練看護師 |
Outline of Annual Research Achievements |
高次脳機能障害の一つである自発性の低下に対する看護介入は、自発性を賦活させることが課題となる。研究代表者(小浜)は、平成25年度から平成27年度まで科学研究費助成事業を受け、自発性低下の患者にゲームを活用した看護介入の効果について取り組んだ。ゲームを用いた介入は、患者の発話を促し自発性を賦活させたが、賦活された自発性がセルフケア場面にまで般化するには至らなかった。また、自発性の賦活は介入者となる看護師の実践能力に影響を受けることが示唆された。しかし、自発性の賦活を促す看護師の実践能力を示す文献はなく、看護実践を支える暗黙知の解明が急務であるといえる。 そこで、本研究の目的は、自発性の低下を来した患者の自発性を賦活させる熟練看護師の看護実践を支える暗黙知の解明を試み、看護介入の一助とすることにある。研究方法として、本研究では患者の自発性を賦活させる熟練看護師の看護実践を支える暗黙知の解明を試みるために、熟練看護師の実践能力をシングルケース研究法を活用して分析することを計画している。 平成30年度は、平成29年度に引き続き、4事例の患者に介入を試み、暗黙的に行われる熟練看護師の介入の特徴を分析した。また、前年度の調査過程において、観察結果を看護理論を用いて質的に分析することを通してより詳細な実践能力が明らかになると考えたため、看護理論に基づき考察を試みた。分析を通して、比較対象の看護師と熟練看護師の実践には、患者の言動をいかに観察し理解するか、という時点から大きな差異が認められた。研究成果はRoy Adaptation Modelのカンファレンス、第6回日本ニューロサイエンス看護学会学術集会において報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成30年度は、昨年度実施が遅れていた、セルフケア場面に対する介入の分析を実施することができた。しかし現時点で、比較対象となる看護師との介入場面での行動の差異の分析、看護師の介入に対する患者の反応の差異に対する分析を継続している状況であり、「やや遅れている」とした。分析は、研究分担者のアドバイスを得て、次年度にかけて遅れないように進めていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては、平成29年度、平成30年度に収集したデータの分析を継続すると共に、対象事例を増やし、分析を継続したいと考えている。 また、平成29年度に実践した研究成果から、暗黙的に行われる熟練者の思考・判断、実践と、比較対象となる看護師の思考・判断、実践を比較する方略として、両者が実践に活用している看護理論を用いて言語化することを試みている。これらの研究成果については、引き続き学会で報告し研究を推進していく。また、研究者会議を適宜開催し、論文執筆を進めていくことを予定している。
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Causes of Carryover |
平成29年度の調査より、熟練看護師の暗黙的な実践を言語化するために看護理論を用いた分析が有用であると考え、平成30年度に研究成果をロイ適応看護協会の国際学会において報告した。本年度の研究成果についても、同様に米国で報告を行い、諸外国の研究者と討議することで分析精度を高めたいと考えたため、次年度に繰越をして国際学会への参加費、旅費として活用することとした。
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