2019 Fiscal Year Research-status Report
出産後1年間の睡眠覚醒リズムと夫婦のメンタルヘルスに関する縦断研究
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17K12283
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
安積 陽子 北海道大学, 保健科学研究院, 准教授 (40336847)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 妊娠 / 睡眠 |
Outline of Annual Research Achievements |
妊婦を対象に睡眠、マイナートラブル、精神的健康状態、睡眠衛生の関連を検証するためにアンケート調査を行った。研究対象者は、妊娠経過が正常であり、既往歴に精神疾患や睡眠障害がない者とした。質問紙は、基本属性、睡眠の評価にPittsburgh Sleep Quality Index日本語版(PSQI)とThe Epworth Sleepiness Scale日本語版(JESS)、精神健康状態の評価にHospital Anxiety and Depression Scale(HAD)尺度、マイナートラブルの評価にマイナートラブル評価尺度、睡眠衛生の評価に睡眠改善に重要な習慣行動32項目を使用した。有効回答167部(有効回答率55.3%)を分析対象とした。 PSQIによる睡眠障害の判定は52.1%、JESSによる日中の過度の眠気ありの判定は39.5%であった。PSQIの平均値は6.0±2.74点で、妊娠後期が中期に比して有意に高かった(p=0.005)。JESS得点の平均値は10.1±4.37点で、妊娠時期による有意差はなかった。これらの結果は、妊娠進行に従い睡眠は悪化するという先行研究を支持した。また、マイナートラブルの質問で眠気ありと回答した妊婦は149名(89.2%)のうち52%が睡眠障害と判定され、妊婦健診で睡眠の悪化が見過ごされている可能性が示唆された。 睡眠障害と判定された妊婦はそうでない妊婦に比し、不安得点、抑うつ得点、マイナートラブル苦痛度度が有意に高かった。PSQIを従属変数とする重回帰分析の結果、「妊娠時期」(β=0.23,p=0.002)、「不安」(β=0.20,p=0.002)、「一日のリズムを付ける」(β=-0.33,p=0.000)であり、一日のリズムをつける睡眠衛生によって、睡眠の悪化を防ぐ可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在までに、アクチグラフによる夫婦を対象とした睡眠の縦断研究は中止し、代替の方法を検討するべく、妊婦を対象としたピッツバーグによる睡眠調査を実施した。その結果、横断的ではあるが、妊婦への負担を少なく、妊娠期の睡眠の変化を示すこと、睡眠状態と心身の健康状態の関連を示すこと、睡眠状態と1日の過ごし方との関連を示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度、アクチグラフを用いた縦断研究に対する負担感が、現研究計画にはあると考えたため、今年度は質問紙を用いた睡眠調査を横断的に実施した。その結果、ピッツバーグ睡眠質問票を用いて、妊娠期の睡眠の特徴を明らかにすることができた。今後は、妊娠期から産褥期の夫婦の睡眠の変化を縦断的に調査する方向で研究を進める。
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Causes of Carryover |
今年度は、研究デザインを修正して、当初予定していた三次元加速度センサーではなく、全体として経費が掛からない、質問紙調査票による横断研究を行った。次年度は、同様に質問紙調査法を実施するが、夫婦を対象者とする縦断研究を計画するため、対象者へのインセンティブなど、必要経費は今年度よりもかかると考えている。
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