2018 Fiscal Year Research-status Report
出産体験の振り返りアセスメントツールを用いた看護介入モデル考案のための基礎的研究
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17K12285
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
國清 恭子 群馬大学, 大学院保健学研究科, 講師 (90334101)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
常盤 洋子 群馬大学, 大学院保健学研究科, 教授 (10269334)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 出産体験 / アセスメントツール / 介入モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、出産体験の振り返りアセスメントツールの実用性の検討に向けた基礎的調査のひとつとして、産後入院中に出産体験の振り返りを支援した経験のある病院助産師を対象に振り返りの支援についての質問紙調査を行い、3施設の助産師58人より回答を得た。 出産体験を聴く際に困ったことや難しかったこととして、「出産体験の振り返りの言葉のかけ方や思いの引き出し方、環境づくり」「反応や表出の乏しい人への対応」「否定的な想いやわだかまりのある人への対応」「緊急帝王切開、母子分離、無痛分娩、死産などの具体的困難事例・場面への対応」「業務内での時間の捻出」などが挙がった。さらに、出産体験の振り返りの支援について学びたいこととして、「出産体験とは何か(意義などの基本的知識)」「振り返りの基本的展開方法」「思いの引き出し方や声かけの仕方」「具体的な事例を用いた実践例」「他の助産師や他の施設はどうしているのか」などが挙がった。これらの結果より、臨床の助産師は出産体験の振り返りの支援について、対象者に何を語ってもらえばよいのか、思いをどう引き出せばよいのかなどの基本的な展開の仕方に関する知識やスキルに自信がなく、様々な困難事例を経験していることがわかった。出産体験の振り返りアセスメントツールは、正常分娩に限らず異常分娩や様々な背景・経過の出産体験をもとに作成され、母親が「話したい」体験を明確にすることができることから、このような助産師の振り返りの支援における困難感を軽減するのに役立つことが期待され、今後の看護介入モデルの考案や教育プログラム検討に向けた示唆を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究は、研究者が取り組んでいる出産体験の振り返りアセスメントツールの開発の研究を基盤として発展的に行う継続研究であるが、120を超えるアセスメント項目の分析に際し科学的合理性を保証するための多量のサンプル数の確保が必要であるため、予定のサンプル数を確保するために予定の倍の調査期間を要し、後続の研究に遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
出産体験の振り返りアセスメントツールの実用性の検討のための量的調査実施に向け、今年度の調査結果の分析を進め、アセスメントツールを使用した感想・評価についての自由記述を含めた質問紙の作成を進める。また、看護介入モデル考案に向けて、臨床助産師から得た具体的な困った場面や学びたいこと・知りたいことを踏まえて、出産体験の振り返りアセスメントツールを活用する利点やコツ、注意点、具体的な困難事例における振り返り支援のポイントなどを具体的に整理、検討する。 また、研究分担者との連携を密に行い、研究実施計画の調整を随時行って進めていきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
理由)量的調査におけるサンプル数の確保のために予定調査期間を大幅に延長したことにより、データ入力作業を依頼するために確保していた予算の未使用が生じた。 使用計画)現在は、すでにデータ入力依頼を進め、前年度未使用分の執行をはじめている。その他、記録メディアや分析ソフト等の消耗品の補充、専門的知識の提供に対する謝金等へ充てる予定である。また、研究テーマに関連した学会への参加や成果発表、研究依頼および打ち合わせ会議等の旅費として使用を予定している。
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