2019 Fiscal Year Research-status Report
出産体験の振り返りアセスメントツールを用いた看護介入モデル考案のための基礎的研究
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17K12285
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
國清 恭子 群馬大学, 大学院保健学研究科, 講師 (90334101)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
常盤 洋子 群馬大学, 大学院保健学研究科, 教授 (10269334)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 出産体験 / アセスメントツール / 介入モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、出産体験の振り返りアセスメントツールの実用性の検討に向けた基礎的調査のひとつとして、出産体験および出産体験の振り返り支援に関する理論について学んだうえで、臨床における出産体験の振り返り支援を実践した経験をもつ助産師4名を対象に、出産体験の振り返り支援について印象深い経験や、支援の実践を重ねる中での学びや支援のコツ、支援を実施する上で大切にしていることなどについて半構成的面接調査を行い、その経験知を探った。なお、出産体験の振り返りとは、単に出産体験を想起する(レビュー)ことにとどまらず、出来事やそれに伴う感情の整理・理解・客観視を通して出産体験を意味づけし、自己受容や自己成長を感じられるよう再構築するまでの過程を意味する。 支援のコツとして、【否定的な発言に敏感となり、根拠のない称賛を与えたり、必死に励まそうとするなどして肯定的な出産体験にしようとしない】【自己受容を促すために、分娩経過の中で自分自身を評価できることについて尋ねる】などが見出された。また、支援する上で大切にしていることとして、【出産体験の捉え方を憶測したり、支援の進め方などのテクニックばかりを意識することなく、支援のその場で生身の反応を受けて感じたことを大切にし、自らの関わりを調整していく】【否定的な評価への恐れ・不安から、むやみに励ましたり、自分のケアの振り返りが目的となってしまい得ることを認識する】などが見出された。出産体験の振り返り支援における困難感についての先行研究や現場の声からは、母親の否定的な発言に対して過敏となり対応へ戸惑いを抱く看護者が少なくないことが伺われる。今回見出された結果は、看護者の振り返りの支援における困難感を軽減し、言語化された経験知を共有して支援の実践力を向上させる教育プログラム検討において活用できるものと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究は、研究者が取り組んでいる出産体験の振り返りアセスメントツールの開発の研究を基盤として発展的に行う継続研究であるが、1600を超えるサンプル数のデータ整理、および分析に時間を要し、後続の研究に遅れが生じている
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Strategy for Future Research Activity |
出産体験の振り返りアセスメントツールの実用性の検討のための量的調査実施に向け、今年度の調査結果の分析を進め、アセスメントツールを使用した感想・評価についての自由記述を含めた質問紙の作成を進める。また、看護介入モデル考案に向けて、臨床助産師から得た具体的な困った場面や学びたいこと・知りたいことを踏まえて、出産体験の振り返りアセスメントツールを活用する利点やコツ、注意点、具体的な困難事例における振り返り支援のポイントなどを具体的に整理、検討する。
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Causes of Carryover |
年度末に参加を予定していた国際学会が、新型コロナウィルス感染症拡大の影響を受けて中止となったことに伴い、計上していた旅費、学会参加費等の支出がなくなったため予算の未使用が生じた。 未使用額は、論文投稿および英文校正や専門的知識の提供に対する謝金等へ充てる予定である。また、消耗品の補充のほか、研究テーマに関連した学会への参加や成果発表、研究依頼および打ち合わせ会議等の旅費として使用を予定している。
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Research Products
(1 results)