2017 Fiscal Year Research-status Report
血友病保因者への遺伝性告知支援システムの構築に向けて
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17K12290
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Research Institution | The Japanese Red Cross Hiroshima College of Nursing |
Principal Investigator |
藤井 宝恵 日本赤十字広島看護大学, 看護学部, 准教授 (50325164)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 血友病 / 遺伝 / 保因者 |
Outline of Annual Research Achievements |
[目的]血友病保因者の中には、保因者と知らないまま、あるいは知らされないまま自然分娩を行い、出産児が頭蓋内出血を起こす事例は未だ珍しくない。こうした現状を改善するために、血友病保因者の可能性のある女性に対する、保因者告知が必要であるが、十分な検討がされていない。遺伝性疾患を持つ子どもを出産するかもしれないという遺伝性の告知を受けることは、保因者ならびにその家族にとって容易なことではない。日本の現状として保因者への遺伝性の告知は、患者家族の意思に委ねられている。そこで2017年度は血友病保因者を抱える家族の遺伝性に関する苦悩を明らかにする目的で、推定/確定保因者の娘を抱える母親を対象にインタビュー調査を行った。[方法]インタビューは半構成的面接法を行った。インタビュー内容は、①遺伝性に関わる悩み、②告知する上で必要だと思う支援、とし、対象者の同意を得た上でICレコーダーへ録音した。逐語録化したデータは質的に分析した。[結果]2017年度末までに20人の協力を得た。母親らの娘は計25人で、娘の平均年齢は18.4±8.6歳だった。娘への遺伝性告知の有無については、告知済みの母親が17人、未告知が3人で告知済みが多かった。告知済みの中には、10歳以下の娘に対し、娘が理解できるレベルでの説明がされていた。娘が結婚や出産する前までには、娘に改めて遺伝について伝える意思が語られた。一方で、いつ、どのような方法で伝えるか、等の悩みを語る者もあった。[考察]対象者が抱く保因者告知の苦悩の語りから、医療者による保因者告知の支援の必要性が示唆されたと考える。今後は医療資源活用の可能性について調査を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2017年度は目標対象者数とした20人のデータとデータ分析終え、知見を得た。学会発表や論文化による公表はこれから行う。2018年度計画は、研究倫理審査申請が遅れ、そのたアンケート調査に必要な準備も遅れていることから概ね順調と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
2017年度の知見は公表する。2018年度は遺伝子相談を行う医療者を対象としたアンケート調査を行う予定で、現在準備を進めている。また当初の計画では、遺伝子医療分野の医療者で血友病保因者への相談経験のある者を対象とした、インタビュー調査を計画していた。しかし、対象者探しに困難を極めると予測されることから、血友病医療者にアドバイスを受け対応する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、本助成金獲得前より研究を開始していたため、その期間内に掛かる旅費等は他の研究費で賄っていたことによる。また、調査対象者の獲得について、比較的広島県の近隣で得ることができ、旅費の使用が見込みよりも少なかった。 翌年度分として請求した助成金と合わせた使用計画は、今年度の国内学会発表旅費を国際学会発表旅費に変更し、使用する。
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Research Products
(1 results)