2018 Fiscal Year Research-status Report
血友病保因者への遺伝性告知支援システムの構築に向けて
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17K12290
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Research Institution | The Japanese Red Cross Hiroshima College of Nursing |
Principal Investigator |
藤井 宝恵 日本赤十字広島看護大学, 看護学部, 准教授 (50325164)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 血友病 / 保因者 / 遺伝 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】血友病保因者に対する遺伝カウンセリング(以下GC)の実態を明らかに目的で行った。 【方法】調査1:血友病診療に携る小児科医/血液内科医(以下Hem群)並びに遺伝子診療部門の医療者(以下GC群)を対象に、質問紙調査を行った。両群とも回答者は各施設1人。質問紙は無記名式で、設問は回答者の属性、血友病保因者のGC経験の有無、相談内容、保因者支援の自身の考えと施設の実情で構成した。2018年12月~2019年3月末に実施。 調査2:GC経験者に、血友病保因者の相談内容の特徴、課題をインタビューした。 【結果】調査1:有効回答数はHem群66件、GC群53件。GC経験有はHem群22.7%、GC群47.2%、GC内容の両群最多は「保因者か否か(Hem群19.7%、GC群41.5%)」だった。Hem群で遺伝子医療部門の利用経験有は12.1%、GC群で血友病の診療科からGC依頼経験有は39.6%だった。保因者支援についての自身の考えでは、「保因者の告知」「遺伝子検査」「出産」「患者の出生後」「患者の子育て」全5項目で必要と回答した者は両群とも65~88%いた。対して施設の実情では、全5項目で支援可能と回答した者はHem群27~53%、GC群54~75%で、GC群の方がHem群よりも支援可能な割合が高かった。 調査2:相談内容は、ひどい貧血、結婚、2人目の妊娠、と様々。保因者問題に地域差はない。遺伝子医療部門の利用を勧めたいと思わない理由は、日本の遺伝カウンセラーは血友病包括医療の一環として養成されていないため、血友病の知識が少ない。 遺伝子検査は、検査に至るまでには何段階ものステップを踏み、要する時間は膨大である。遺伝子検査を請け負う者は正しい倫理観を備えているなどの資質が必要だ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度に行う調査は年度内には終了できた。質問紙調査の結果は単純集計まで実施できたが、これから統計解析を行い、更なる分析を行う。 遺伝カウンセリング経験者へのインタビュー調査は、遺伝子医療部門の医療者で保因者の遺伝カウンセリング経験者を探すことが困難であった(質問紙調査の実施が大幅に遅れたことも一因)ため、血友病診療に関わる医療者で、保因者をテーマにした講演を行っている2人に直に調査協力を依頼した。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は2017年度と2018年度の調査結果を基に、専門家会議を行う。研究協力者である専門家(血友病医療、遺伝医療)間で課題と対策について検討する。 また、本研究の成果は2019年ISTHで発表し、論文化する。
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Causes of Carryover |
人件費が計画よりも少なかったが、これは研究時間の確保が困難な時期が多かったことによる。 翌年度分として請求した助成金と合わせた使用計画は、今年度の学会発表旅費及び英文校正費に追加して使用する。
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Research Products
(1 results)