2023 Fiscal Year Annual Research Report
Establishment of an infertility support system utilizing specialized infertility consultation centers run by the government.
Project/Area Number |
17K12311
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Research Institution | Shimonoseki City University |
Principal Investigator |
石村 美由紀 下関市立大学, 新学部設置準備室, 准教授 (40364179)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 不妊専門相談センター / 行政 / 不妊支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は、不妊に悩む女性の経験と対処に着目して、行政における不妊支援の利用に関連する要因を明らかにしていくことを目的とし、不妊に悩む女性を対象に無記名式のWebアンケート調査を実施した。質問内容は、不妊の辛さ、不妊の悩み・疑問といった「不妊の経験」と、相談相手、最初に行った対処、インターネット利用、医療機関受診といった「不妊に対する対処」、そして「行政における不妊支援の利用」とした。倫理的配慮に留意し、所属施設の研究倫理委員会の承認を得て実施した。有効回答は521名(有効回答率88.2%)であった。 行政における不妊支援を利用したことがある者は85名(16.3%)と1割程度だったが、実際に利用した不妊女性は、行政における不妊支援によって問題を解決するための情報や知識に関しては76.4%、情緒・心理的サポートに関しては68.2%の者が、得ることができたと評価していた。さらに70.6%の者が機会と必要性があればまた利用したいと思っており、ニーズが高い不妊支援であることが明らかになった。不妊の悩み・疑問に関しても、行政における不妊支援を利用した者は、「不妊の疑い」などの不妊であるが故の悩み・疑問や、「不妊症・不育症の検査・治療に関する知識・情報」などの不妊治療に関する悩み・疑問が有意に少ないことが明らかになった。行政における不妊支援が不妊の悩み・疑問を解消することに有効である可能性がある。 研究期間全体を通して、不妊専門相談センターが中心となる行政における不妊支援は連携不足などの課題があるものの、利用者にとっては満足度の高い支援となっていた。不妊に悩む人が行政における不妊支援を有効活用しやすい体制を構築するためには、幅広い支援内容と支援効果を周知する情報網と、不妊専門相談センターと不妊専門相談センター、自治体、医療機関との連携が重要であることが明らかになった。
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