2020 Fiscal Year Research-status Report
高齢者や認知症の家族をケアする子ども・若者の発見・支援のためのプログラムの開発
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17K12323
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Research Institution | Kanto Gakuin University |
Principal Investigator |
青木 由美恵 関東学院大学, 看護学部, 教授 (60347250)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 亜紀 関東学院大学, 看護学部, 助手 (00795883) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ヤングケアラー / 若者介護者 / 高齢者ケア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、高齢者や認知症の家族のケアを担う子ども・若年介護者の実態とニーズを明らかにし、その課題への支援プログラムを開発することである。 家族や地域内の支援力の低下が指摘される中、晩婚化、高齢出産の増加、少子化、ひとり親家庭の増加、貧困や外国につながる子どもなど、様々な分野の課題が複雑に絡み合い、子ども・若年の介護者は、複数課題を抱える状況が見られる。 令和2年度の実施概要は、地域包括支援センターに働く3職種(保健師等・社会福祉士・主任介護支援専門員)等136人および児童民生委員530名を対象に、質問紙調査を行い、それぞれ、有効回答98名(有効回答率72%)、有効回答430名(有効回答率81.1%)、であった。 本研究では、以下の点が明らかになっている。 ①これまでに関わった子ども・若者の中で、ヤングケアラー、若者ケアラーがいると回答したのは、地域包括支援センター・市役所においては回答者の約3人に1人、民生児童委員においては回答者の約16人に1人である。②小学校高学年から数が増え、女子が6割弱を占める。③子どもがケアしている相手は、きょうだいと母親が圧倒的に多い。④ケア内容は家事ときょうだいの世話が多く、家族構成はひとり親家庭の割合が高い。⑤先生が気づいた経路は、子ども本人の話が多い。⑥学校生活への影響は、欠席・遅刻、学力が振るわないが多くみられた。 第1段階の研究成果はリーフレットにまとめ、各対象者の所属機関を通して配布するとともに、フィードバックの場を設けるために研究協力機関全てを対象に研究成果を用いた研修会を開催して頂き講演した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成29年度春からの研究組織メンバーの健康問題などにより研究活動に参加できず、人的資源が少なくなったことから研究体制が当初予定より厳しい状況が続いている。研究協力者を増やしながら対応しているが、所属研究機関外の人的資源のため、研究活動の時間の捻出・調整、および研究会議等への出張などがし難い状況が続いている。そのため、2段階目にあたるインタビュー調査の準備に予定以上に時間を要した。さらに、インタビュー調査に着手しようとした時期に、COVID-19によりフィールドにおける研究活動ができなくなった。加えて、第1報発表の為の国内学会および、最終年度の子ども・若年介護者に関する取り組みが進んでいるイギリスにおける成果発表・情報交換のための渡航計画が、実施ができなくなった。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、研究の進捗が遅れていることへの対応策として、既に研究期間の延長申請を再度行った。 次に、COVID-19の状況を慎重に見極めて、十分に配慮をしながらフィールドでのインタビュー準備を進める。子ども・若者介護者への支援者である地域包括支援センターで働く専門職やボランティアらへのインタビューデータの収集に取り掛かる際には、現実的に実施可能な研究計画への変更も視野に入れる。 具体的には、第1段階の研究成果をリーフレットにまとめ、各対象者の所属機関を通して配布するとともに、フィードバックの場を設けるために研究協力機関全てを対象に研究成果を用いた研修会を開催して頂き講演してきたため、第2段階目のインタビュー調査のフィールド側への働きかけはできている。実際にインタビュー調査の実施が可能な時期を見定め、どのように現状把握をして支援に結び付けているのか、その流れを明らかにするために、対応事例について支援の実際から課題や連携の在り方を明らかにする。さらに、その調査結果から課題を検討し、支援プログラムを作成する。そのために所属機関の「人に関する研究倫理 審査委員会」の承認を得る。そして、支援プログラムの実施・アウトカム指標の分析・評価を通じ、プログラム効果を明らかにする。 なお、最終年度に予定していた、プログラムの修正・改良と、子ども・若年介護者に関する取り組みが進んでいるイギリスにおける成果発表と情報交換のための渡航を計画しているが、本研究期間内の実施は現実的には難しいと考え、計画の変更も検討する。
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Causes of Carryover |
研究計画実施のCOVID-19による遅延のため、必要な経費が未使用である。具体的には、2段階目調査費用、調査の中間結果報告と他研究者との情報交換のための学会発表費用、国外での最終結果報告と情報収集のための渡航費用などであり、研究期間の延長により実施するために必要となってくる費用である。
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