2019 Fiscal Year Annual Research Report
A study of paternal depression in postpartum period using saliva samples and its impact on work and quality of life
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17K12338
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Research Institution | National Center for Child Health and Development |
Principal Investigator |
竹原 健二 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 政策科学研究部, 室長 (50531571)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永田 知映 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 臨床研究教育部, 室長 (70385342)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 産後うつ / 唾液検査 / テストステロン / 産業保健 / 父親 |
Outline of Annual Research Achievements |
産前・産後は父親もメンタルヘルス不調になるリスクが高くなる時期であり、その頻度は最新のメタ解析で8.4%と報告されている。父親がメンタルヘルスの不調になることで、児の発育・発達や妊産婦のメンタルヘルスなど、家族への影響が指摘されている。そのリスク因子についても過去の精神科既往歴や夫婦関係、長時間労働など、多くの疫学調査で徐々に明らかにされてきている。しかし、父親がメンタルヘルスの不調になることについて、その生理学的機序に関する科学的な知見は乏しい。 本研究では、協力が得られた企業・団体に所属する社員・職員において、初めての子どもが生まれた男性(児がおよそ2-3か月ごろに登録)を症例群、その男性と同年齢層で同様の職種の男性を対照群としてペアでリクルートをおこなう症例対象研究の実施を計画した。調査協力に同意が得られた対象者に対し、唾液中のテストステロンおよびコルチゾールを測定するとともに、質問票でストレスや労働生産性などに関する情報を収集した。 研究対象者のリクルートの基準が厳しく、条件に合致する症例・対照群のペアの登録が難航し、最終的には当初予定をしていたサンプルサイズにはまったく届かず、26-40歳の3ペア6例の収集をおこなうにとどまった。唾液中テストステロンおよびコルチゾールの中央値は症例群で50.9pg/mL、1.17ng/mL、対照群で113.1pg/mL、1.17ng/mLであり、いずれもばらつきは非常に大きく、対象者の選定、測定方法・時間などの深慮が必要だと考えられた。 父親にアウトリーチすることの難しさは先行研究においても指摘されていたが、妊娠・出産・育児への関心について大きな偏りが生じないように配慮し、父親をリクルートすることは極めて困難であることがあらためて明らかになった。想定していた検体の測定費用など、予算の大半を未使用額として返金して本研究は終了とする。
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