2017 Fiscal Year Research-status Report
医療的ケアを要する小児の社会化促進に対する看護支援強化のためのプログラム開発
Project/Area Number |
17K12343
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
平林 優子 信州大学, 学術研究院保健学系, 教授 (50228813)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市川 元基 信州大学, 学術研究院保健学系, 教授 (60223088)
鈴木 泰子 信州大学, 学術研究院保健学系, 助教 (60283777)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 医療的ケア児 / 社会化 / 看護介入 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、医療的ケアを必要とする幼児の社会化促進の看護プログラムを開発することを目的としている。平成29年度は、主として事例の評価に用いる指標の探索を実施した。医療的ケアを必要としている子どもの社会化の指標や尺度については、子どもの発達指標とともに考える必要がある。肢体不自由児等の社会化指標を開発した「社会生活力評価」(宮本,2006)指標や、「S-M社会生活能力3版」の項目を参考にすることが可能であるが、本研究でのプログラムの対象では、重症心身障害児も対象として含まれることも考えられ、その指標には、運動能力や感覚器、知的発達等の指標お合わせて検討する必要がある。遠城寺式乳幼児分析的発達検査の領域は、社会化に向けた領域の指標としてもとらえることができる。横井ら(2015)が述べる、「適応行動評価」の視点から、概念的技能、社会的技能、実用的技能の領域から、社会化を検討することが可能と考えられる。横井らは、重症心身障害児・者の適応行動評価として、「Ⅰ.対人関係」、「Ⅱ.受容(コミュニケーション)」、「Ⅲ.表出(コミュニケーション)」、「Ⅳ.興味・楽しみ」、「Ⅴ.日常生活の領域」で、適応行動指標を作成し、必ずしも言語理解が可能でない対象の適応能力を評価している。医療的ケアを必要とする子どもでも、移動能力のみが課題であったり、運動や知能に問題のない子どももいる。Social and Emotional Abillities Scaletなども検討することが考えられる。 一方で、社会化への働きかけについては、文献から、「相互応答性・相互作用」「姿勢の変化や五感への刺激」「自発性・関心」「有能感の獲得経験」「満足感・快・幸福感」「経験する集団の変化」などについて介入計画に含めることが考えらえた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
概念分析と社会化指標の絞り込みが十分でないことと、研究協力者との連携時間の調整に時間を要したため、プレ調査の準備と、研究倫理申請が遅れているため、実際の事例での検討を数例実施するという今年度の目標までは到達していない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度前期には、概念分析と、文献検討、連携協力者を含めた検討により、社会化指標と情報収集項目を絞り込み、所属施設ならびに調査機関の研究倫理審査の承認を得て、社会化指標の検討のためのプレ調査(事例検討)を行う。プレ検討の最初の事例は3例程度とし、研究者間で指標による違いを検討したのち、医療的ケアを必要とする子どもの年齢層や、身体・認知・生活能力の違いを加味してすると、さらに数例を検討する。 その後、プレ事例を含めて、30年度後半には、乳児、幼児、学童期の事例を数例ずつ収集する。 現在のところは、社会化指標の領域と項目を絞り評価が可能であるかを事例により検討する。また、既存の在宅支援連携パスを参照して、各職種間の役割と働きかけの目的を確認し、社会化支援にどのような役割と意味づけがあるかを整理し、社会化支援という点でのプログラムにどのように生かすか検討しながら情報収集していく予定である。
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Causes of Carryover |
当初予定していた、事例での検討と専門家からの意見聴取、研究協力者との会議等が予定よりも実施できなかったため、次年度使用額が生じた。 次年度使用額は平成30年度請求額と合わせて、研究者の会議旅費、調査旅費や専門家からの意見聴衆の謝金、事例検討の記録の補助のための経費、指標の開発の参考書籍や文献複写や必要消耗品費、文献検討の学会発表、当初予定したPC購入(機能低下のため)に使用する。
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