2018 Fiscal Year Research-status Report
こどものセルフケア能力に着目した在宅生活支援モデルの検討
Project/Area Number |
17K12380
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
原 朱美 関西医科大学, 看護学部, 講師 (70613800)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河俣 あゆみ 兵庫県立大学, 看護学部, 准教授 (40743224)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | こども / セルフケア / 在宅支援 / 医療的ケア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は平成29年度より、医療的ケアを必要とするこどもが自宅で暮らすために必要な支援をこどもの生活に着目した実践の中で探索し、支援プログラムを構築することを目的として取り組んでいる。初年度にあたる平成29年度は、研究協力者の状況に応じて研究協力施設への依頼を検討するとともに、在宅支援モデルの基礎研究となる協力施設における在宅支援の現状と課題を明らかにする実態調査の研究計画を策定した。 2年目にあたる平成30年度は、前年度に策定した実態調査を行うため、倫理審査委員会の承認を得て実施した。在宅生活に向けて退院指導を受けている(あるいは受けた)医療的ケアを必要とするこどもの主たる養育者7名(母親のみ3名、両親2組)と、NICU、小児科、外来、地域連携部に所属する看護師5名へのインタビュー調査を実施した。主たる養育者へのインタビューは、①在宅での生活を始めるにあたり不安や気がかりなことはなかったか、②自宅に帰ってから退院支援で役に立ったことは何かまた、役に立たなかったことはないか、③今後の生活の予測はできているか等について聞き取りを行った。また、看護師には、①在宅支援に向けて取り組んでいることは何か、②こどもの生活をどの期間までを想定しているか、③退院後のこども・主たる養育者の生活を知ることはあるのか、④どのように評価しているのか、⑤退院支援で課題だと考えていることはないか等について実施した。インタビューの結果をデータの類似性や相違点について検討し、現状と課題について分析を行った。 分析結果は、令和元年8月に開催予定の日本小児看護学会第29回学術集会にて研究発表を行う予定である。医療的ケアを必要とするこどもは、病態や症状のコントロールの困難さのある生活を余儀なくされている。そのような在宅生活を想定し、中・長期的な視野に立った在宅生活支援モデルを検討することが課題と考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該研究の当初の計画では、平成29年度にこどもの家族・看護師へのインタビュー調査を行った結果に基づき多職種間からなる検討会を開催し、在宅での生活調整する在宅移行期から生活が整うまでの経過をたどりながらこどものセルフケアの獲得に着目した支援モデル案を作成し、続く平成30年度に、支援モデル案を活用しながら病棟スタッフやソーシャルワーカー等関連する支援者と協働し、こどもの在宅生活支援を検討することとしていた。 しかし、研究協力者及び適格性の検討や必要とする症例数など研究方法の検討、研究協力施設との調整に時間を要したため、平成29年度4月に実態調査を開始するための研究倫理審査会における承認を得た後、5月からデータ収集・分析を行った。 今後、研究成果を速やかに公表し、臨床のスタッフと共にモデル案をもとに縦断的に在宅生活への移行支援を行い、支援モデルの検討を進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度は、インタビューデータの分析に基づいた支援モデル案を臨床導入に向けた準備を進めている。研究協力施設での研究倫理審査会での承認を得たのち、病棟・NICUにおいて臨床のスタッフと共に実践を進め、その効果と課題を検討し、支援モデル案の精錬を図る予定である。 支援モデル導入の評価・分析においては、必要に応じて研究者間およびケア提供者との検討会議を行い、介入内容・介入方法および介入ポイントが有効であるか等、支援モデル案の妥当性について検討を行うこととする。 併せて、平成30年度に行ったインタビュー調査の結果を国内外の学術集会での演題発表や論文投稿による公表に努め、支援モデル案の作成に向けた情報交換を行う予定である。
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Causes of Carryover |
当該研究の研究計画を策定するにあたり、研究成果の公表に向け、国際学会への参加を計画していた。しかしながら、本研究の理論基盤となるオレムのセルフケア学会が開催されなかったため、発表を見合わせた。 次年度は、平成30年度のインタビュー結果と共に支援モデルについても国内外の学術集会にて発表を進め、精錬を図りたいと考えている。
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