2019 Fiscal Year Research-status Report
認知症の認識とケアに関する研究―EPAで来日する看護師の教育と支援に向けて―
Project/Area Number |
17K12410
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Research Institution | Kobe City College of Nursing |
Principal Investigator |
植本 雅治 神戸市看護大学, 看護学部, 名誉教授 (90176644)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 藍 四條畷学園大学, 看護学部, 准教授 (10438252)
平野 裕子 (小原裕子) 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 教授 (50294989)
瀧尻 明子 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 講師 (70382249)
野上 恵美 神戸大学, 国際文化学研究科, 協力研究員 (90782037)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 認知症 / ベトナム / 老年看護 / 多文化間精神医学 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までに行った調査、看護師への聞き取り、患者家族への聞き取り、の結果の解析、検討を行い、その結果を2019年12月に行われた多文化間精神医学会において発表した。 看護師を対象とした調査からは、以下のことが示された。ベトナムの看護師の多くは認知症の知識は有しているものの、認知症者を看護する経験は乏しく、具体的な看護や支援方法について考える機会は少ないと考えられる。認知症者の日常生活の支援は看護師の仕事ではなく、家族の役割と考えられている。看護師から見た、ベトナムの一般の人々は、物忘れや徘徊等の症状を病気とは捉えず、加齢による変化として捉えている。また、認知症者は暴力的な行動がない限り、家族や周囲の人々に支えられながら、地域で生活しており、差別にさらされることはない。 患者家族を対象とした調査からも、以下のことが示された。認知症」の中核症状(記憶障害・見当識障害など)は老化現象として捉えられており、明確に病気とは捉えられてはいない。暴力や妄想的な言動が精神科への受診のきっかけとなることもあるが、概ね、家で、家族親族、が面倒を見ており、近隣住民の配慮もある。 以上、ベトナムでは「認知症」概念の医療化は進んでおらず、ケアも親族も含めた大家族によって、近隣共同体の支援を受け行われている。しかしながら、現在、ベトナム社会は、平均寿命の高齢化に伴う「高齢者の増加」、産業の近代化に伴う「核家族化」などの、構造変革が急速に進んでおり、現在のようなゆるやかな管理・保護体制は限界を迎えつつある。 今後、どのように、社会における認知症概念が変化していくのか、疾患としての認識が高まり、医療化することによって管理化が進むのか、あるいは、公共の活動や施設を拡充することで、家族、親族や近隣共同体を支援し、ゆるやかなかかわりを維持できるのか、今後、調査研究を続ける必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2018年度までに行なった調査結果の解析及びその結果の学会発表は、2019年度を通じ、行った。 しかし、2019年度末以降に予定していた調査は、COVID‐19感染流行のため行えず、現在、流行が終息し、現地調査可能となる時期の予測も難しい状態にあるため研究の進捗は遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
COVID‐19流行が終息に向い、現地渡航が可能となる時期の予測ができ次第、次回調査の施行について現地協力機関と再度、検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
2019年3月に予定していた、ベトナムでの現地調査が、COVID-19感染流行により、施行できず、調査時期が延期となっているため。
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Research Products
(3 results)