2020 Fiscal Year Research-status Report
痛み行動観察尺度:日本語版DOLOPLUS-2の臨床への普及に向けて
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17K12418
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
安藤 千晶 東北大学, 医学系研究科, 助教 (60645919)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾崎 章子 東北大学, 医学系研究科, 教授 (30305429)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 高齢者 / 慢性疼痛 / 在宅 / フレイル |
Outline of Annual Research Achievements |
研究協力を得られた訪問看護師らとともに「高齢者の非がん性慢性疼痛看護」に関する事例研究を行った(第50回日本慢性疼痛学会にて発表)。その結果以下のことが明らかとなった。訪問看護師の看護実践において「全面的に受け入れ肯定する」「人となりを知る」という看護実践の基本が根底にあった。その上で「A氏が持っている力を生かし発揮できる支援」として、「A氏の過去の経験を言葉にすることや、過去の上手くいったこと、上手くいかなかったことなどを言葉にしてもらい、(今まで体験したことを)思い出してもらうことで選択したことに自信を持ち、自ら選んだ責任も感じてもらえる」看護実践を行っていた。また「困っていることを言葉にしてどのように医師に伝えるか一緒に考え、受診後は採血や検査結果のコピーを見せてもらい、医師のコメントの説明を改めて行う」といった、その人自身が療養生活をコントロールするために、自分が受ける医療を知り、自分のこととして考える責任と自信を持ってもらう看護実践を傾聴と同時に行っていた。 また訪問看護師は、痛みにとらわれる生活ではなく、「痛みばかり考えている状態から殻を割り関心をずらす」よう会話を工夫していた。そして「今の状態で生活ができていることを喜び、言葉にして伝える」実践を行っていた。これらの実践を行うためには「本人の表現から体調を理解しようとする」「痛みと生活の様子を想像し関連を把握する」という疼痛アセスメントと、また「治療方針を推察し、医師の方針に沿う」「医師とA氏を繋ぎ情報を統合する」という医師との協働、「A氏の生活や習慣を尊重したサービス調整」「A氏の望みをかなえるために在宅チームで共有する」という他の在宅チームとの協働が必要であった。これらの実践を統合して訪問看護師が目指したのは「暮らしの中で痛みと共存できるよう、A氏が認識・理解できるように支援する」ことであると示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
教育プログラムの対象とする訪問看護師とともに、非がん性慢性疼痛を持つ高齢者に関する事例検討を実施できたこと、また慢性疼痛看護に携わるエキスパートナースを対象としたインタビュー調査により、訪問看護師を対象とした慢性疼痛教育プログラムに盛り込む必要な項目選定の検討ができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
慢性疼痛看護に携わるエキスパート看護師5名を対象に知識項目についてインタビューを実施、質的な分析を実施している。その結果も併せた上で、今年度は本研究の目標である在宅で生活するフレイル高齢者(認知機能障害を持つ高齢者も含める)に対する、訪問看護師を対象とした慢性疼痛看護の教育プログラムの原案を作成し、実施する予定である。
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Causes of Carryover |
感染症流行下であったため、学会等の参加、研究フィールドへの出張がなかったため。今年度教育プログラムを実施する際に冊子作成のための費用とする。
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Research Products
(2 results)