2017 Fiscal Year Research-status Report
急性期病院における高齢患者に対する身体拘束適正化に向けた包括的ケアプロトコル開発
Project/Area Number |
17K12423
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
杉山 智子 順天堂大学, 医療看護学部, 准教授 (90459032)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 看護師 / 高齢者 / 身体拘束 / 急性期病院 / 認知障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、急性期病院で高齢者に行われる身体拘束の適正化を目指し、高齢者だけでなく家族も含めた包括的なケアプロトコルの開発を目的とする。今年度は調査1として、急性期病院で高齢者に行われている身体拘束の適正なケア方法、特に家族ケアに関する適正かつよりよいケア方法を探索することとした。対象は、老人看護専門看護師10名とし、急性期病院における高齢者の身体拘束前ならびに身体拘束中における家族への説明やケア、看護師からみた家族の身体拘束への認識などについてヒアリングを行った。その結果、身体拘束時における家族ケアは、身体拘束の承諾を得る際の説明、面会時の身体拘束解除の対応が行われていた。しかし、家族ケアを意識して行っているところは多くはなく、決まり事として実施されていることが多かった。家族の身体拘束への認識においては、特に身体拘束の実施に抵抗がないようにみえる家族もおり、家族から身体拘束を希望する事例も多いことが明らかになった。また、対象者が家族側になって感じた身体拘束の認識については、身体拘束に関することを言える雰囲気がなかった経験も語られた。身体拘束の解除への取り組みについては、主治医や管理者の力が大きく、同じ病院の中でも病棟により、取り組みの差があると感じていた。今後は、ヒアリング調査の結果から明らかになった家族への説明やケア方法を基に更に調査を行い、急性期病院における身体拘束時の適正なケア方法を明らかにしていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査1は終了し、調査2である急性期病院で高齢者に行われる身体拘束時の適正なケア方法に関する質問紙調査の準備を行っている。現在、調査1の結果を基に調査2で使用する質問紙の構成を検討している段階で倫理審査の申請が遅れている。しかし、平成30年度内には、調査を実施、分析まで行い、次年度に実施する研究2への示唆を得る予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
調査1のヒアリング調査から抽出した内容を反映させた質問紙調査を行う予定である。予定していた時期からは少し進捗が遅れるが、今年度中の実施を目指し、現在、質問紙の構成内容を検討している。今後は、全国調査から急性期病院で行われる身体拘束の代替ケアや家族ケアの実施状況や内容だけではなく、プロトコルの実施可能性につながる形を明らかにしていく予定である。
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Causes of Carryover |
調査1のヒアリング調査の調整が遅れたため、次年度使用額が生じた。しかし、ヒアリング調査が実施できたため、今後は、調査2の質問紙調査の郵送費や印刷費、データ入力等の業務委託費、調査に関する消耗品費での支出を予定している。また、臨床における実施可能性の高いプロトコルを作成するため、老人看護専門看護師や老人看護の専門家を集めて意見交換を主とした専門家会議を定期的に行うための会議費や交通費で使用していく予定である。
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