2018 Fiscal Year Research-status Report
急性期病院における高齢患者に対する身体拘束適正化に向けた包括的ケアプロトコル開発
Project/Area Number |
17K12423
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
杉山 智子 順天堂大学, 医療看護学部, 准教授 (90459032)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 看護師 / 高齢者 / 身体拘束 / 急性期病院 / 認知障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、一般病院での身体拘束の適正使用に向けて必要となる高齢者と家族に対するケア方法を明らかにすることである。調査2として、一般病院において、高齢患者とその家族に対して身体拘束実施時にどのようなケアを行っているかを明らかにすることとした。対象は、250床以上の一般急性期病院1000施設、1病院あたり各病棟1名ずつ計2名に依頼し、看護師2000名とした。調査期間は2019年2月~3月とした。方法は、無記名自記式質問紙調査法とし、内容は、属性、身体拘束の実施状況、身体拘束開始時・実施時のケア(事故予防や二次障害のケア等)、身体拘束の解除に向けた取り組み状況とした。その結果、回収数は592(回収率29.6%)、このうち所属病棟は、外科系28.5%、内科系34.1%、混合病棟27.7%であった。この中で身体拘束が行われるという回答は98.5%であった。身体拘束中にいつも実施しているケアで最も多かったのは、「皮膚損傷の有無についての観察」であった。また、身体拘束実施中の高齢患者に対して行われているケアで最も多かったのは、「センサー類などの機器を使用して患者の動きを把握している」であった。二次障害の予防ケアは9割以上の病棟で実施されており、いつも実施しているケアで最も多かったのは、「皮膚損傷の有無についての観察」であった。結果から、多くの病棟で事故予防と併行して身体拘束の解除に向けた取り組みを多角的に行っていることが明らかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
質問紙ならびに面接調査の倫理審査に時間を要したため、面接調査の実施が遅れている。また、調査の実施が遅れたことで研究2の専門家会議の開始もやや遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
調査2の実態調査に詳細かつ具体的なケア内容の把握ならびに探索が必要となったため、今年度中に追加した面接調査を実施する。また、研究2として、様々な形態の専門家会議を数回開催し、得られたデータを基に身体拘束の適正化に向けた包括的なケアプロトコルを検討していく予定である。
|
Causes of Carryover |
面接調査の調整・実施が遅れていること、それに伴い、研究2の専門家会議の開催が遅れているために次年度使用額が生じた。使用計画としては、面接調査において、調査のための交通費、テープ起こし等の業者委託費や人件費、消耗品、郵送費での使用、研究2で予定している老人看護専門看護師や老年看護の専門家による定期的な専門家会議の開催での会議費や参加者の交通費、学会参加のための出張費で使用していく予定である。
|