2019 Fiscal Year Research-status Report
急性期病院における高齢患者に対する身体拘束適正化に向けた包括的ケアプロトコル開発
Project/Area Number |
17K12423
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
杉山 智子 順天堂大学, 医療看護学部, 准教授 (90459032)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 身体拘束 / 高齢者 / 看護師 / 急性期病院 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、一般病院での身体拘束の適正使用に向けて必要となる高齢者と家族に対するケア方法を明らかにすることである。調査2では、一般急性期病院の看護師2000名への質問紙調査を実施し(回収率29.7%)、病棟種別に検討を行った。対象は、外科系・内科系・混合のいずれかで勤務するもの536名とし、外科系31.5%、内科系37.9%、混合30.6%であった。身体拘束実施中の高齢者に対する事故予防や身体拘束解除に向けるケアでは、「早期離床ケア」において外科系で有意に実施されていた。また、高齢患者の身体拘束解除を検討する際に困難と感じる状況において、病棟種別での差はみられなかった。身体拘束の解除に効果があると考えるケアでは、「医師の協力」「看護部の身体拘束廃止・低減の方針」が内科系で有意に高かった。身体拘束の解除に向けた取り組みには、診療科の特徴により高齢患者の身体状況や看護の内容が異なることから、病棟種別で差が生じていたと考えられた。全体を通して、身体拘束の解除を推進する中心的な役割となる主任・チームリーダーの認識は、自分のチーム以外の資源の活用をイメージできないこと、事故のリスクを考えると身体拘束を解除できないと認識することが示唆された。続いて、一般病院において身体拘束の低減に向けて積極的に取り組んでいる病棟スタッフに対し、具体的なケア内容に関する面接調査を実施中である。現時点においては、管理面でスタッフ自身が段階的に達成しやすい目標を設定し続けられるような関わりが重要であるという示唆を得られた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
具体的なケア内容の把握ならびに探索が必要となったため、面接調査を追加したものの、調査の対象者選定ならび複数の研究協力内諾者との協力手続き、日程調整に時間を要し、予定していた対象者数を十分に満たすことができていない。また、調査実施の遅れにより、研究2の専門家会議の開始も遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
面接調査は、COVID-19による感染拡大状況をみて、調査内諾者との日程調整を改めて行い、実施する。また、専門家会議を開催し、これまでの結果を提示することで包括的ケアプロトコル案を作成していく予定である。
|
Causes of Carryover |
面接調査の調整・実施が遅れていること、ならびに専門家会議の開催が遅れているため、次年度使用額が生じた。使用計画については、面接調査のための交通費、テープ起こし等の業者委託費、消耗品費、郵送費として計上する。また、専門家会議の開催における参加者の交通費として計上する。学会が予定通り開催された場合は、参加費として使用予定である。
|