2018 Fiscal Year Research-status Report
介護保険施設での看取りに汎用的な看護の視点からの質評価指標の開発
Project/Area Number |
17K12430
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Research Institution | Seirei Christopher University |
Principal Investigator |
大村 光代 聖隷クリストファー大学, 看護学部, 教授 (40590378)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 介護保険施設 / 看取り / 評価指標 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度の研究目的は、前年度に作成した調査票を用いた郵送調査を実施し、仮説モデルの信頼性と妥当性を検証することである。また、結果をもとに介護保険施設での看取りに汎用的な看護の視点からの質評価指標の原案を作成することである。 中部地方の介護老人保健施設(以下老健)の看護管理者537名に対する郵送調査では、回収数116名(回収率21.6%)、有効回答数106名(有効回答率91.3%)であり、自由記述は58件の記述があった。同じく介護療養型医療施設(以下療養型)の看護管理者609名に対する郵送調査では、回収数55名(回収率9.0%)、有効回答数54名(有効回答率98.1%)であり、自由記述は22件の記述があった。療養型のデータ回収率の結果をふまえて、研究対象者の協力が十分に得られない場合の対策として、療養型のデータは単純集計による比較分析を行うこととする。この比較分析については、次年度の課題とする。 老健のデータの記述統計、相関分析、共分散構造分析を行った。分析結果により、対象者は50歳代が最も多く、管理職歴は7年前後、介護施設での看取り経験は5年以内が最も多かったことから、対象者の妥当性は確認できた。また、看取りの看護実践能力尺度のCronbachαの平均値は0.86で本研究での信頼性を確認した。看取り体制と看護実践能力との相関は、本人や家族に対する看取り方針の説明等9項目で見られ、r=0.27~0.61を示した。看護実践能力と家族の満足度およびチームの達成感との相関も、r=0.43~0.63を示し、すべて1%水準で有意であった。採択したモデルの適合度は、GFI=0.814,AGFI=0.747, CFI=0.901,RMSEA=0.094であった。モデルのパス係数は高値であるが、適合度の不十分さから評価項目の継続的な精錬の必要性が示唆されたため、次年度の課題としたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度の郵送調査は、療養型の回収率が予想以上に少なかったが、研究の進捗としては計画通りに進んでおり、遅れてはいない。
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Strategy for Future Research Activity |
調査データの分析結果をふまえて、老健の調査は学会発表を行い、論文投稿の準備を進める。また、先行研究で行った特養の結果と合わせて「高齢者施設における看護の視点からの看取りの質評価指標」としてパンフレット作製と臨床現場への還元を進めていく。 課題として残った療養型のデータは、単純集計し特養と老健との比較分析を行うとともに、実践者のスーパーバイズを受けて調査票(評価指標)の内容を再検討し、改めて療養型での看取りの質評価モデル構築への足掛かりとする。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、以下の2点である。 1つ目は、平成29年度の繰越額が予想より多かったことである。2つ目は、郵送調査の回収率が予想以上に低く、回収作業やデータ入力の委託費が安価であったことである。 2019年度のおもな使用計画は、国内外の学会発表にかかる費用、パンフレット作製にかかる費用について執行予定である。
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