2018 Fiscal Year Research-status Report

45度頭側挙上体位での仙骨部骨突出部位に寝衣の違いが及ぼす圧力とずれの調査

Research Project

Project/Area Number	17K12436
Research Institution	Mukogawa Women's University
Principal Investigator	藤本かおり武庫川女子大学, 看護学部, 助教 (60757441)
Project Period (FY)	2017-04-01 – 2021-03-31
Keywords	骨突出 / 褥瘡予防 / 寝衣 / 高齢者
Outline of Annual Research Achievements	高齢化に伴い、寝たきりや病的骨突出のある高齢者が増加しており、療養生活の中では食事や経管栄養時の誤嚥防止に背上げ（以後、頭側挙上）をする機会が多い。このため骨突出部位に強い圧力とずれ力がかかり褥瘡発生や褥瘡悪化をきたしやすい。予防のために高機能タイプのエアーマットを使用するが骨突出部位には強い圧迫力とずれ力がかかっている。この圧迫とずれによって牽引された寝衣が、骨突出部位にどのような影響を及ぼすかを明らかにすることを目的としている。本研究では、45度頭側挙上体位での仙骨突出部位に寝衣（浴衣式、伸縮性パンツ、低伸縮パンツ）の違いが及ぼす圧力とずれを調査する。本年度は強度の高いレジンを使用して骨突出のある立体模型を作成した。模型に接合させるSRソフトビジョンはシート部分が伝導ゴムを基材としており伸縮性に優れ断線しにくい特徴があり（木之瀬ら：2016）本研究に適している。模型の外型には緩衝性のある素材で被覆するのがよいと考えたが、体圧センサーの外層シートとの緩衝を合わせて評価する必要があるため、次年度の工程とする。体圧センサーは、寝衣のずれによる骨突出部位への圧変動を比較するためには、住友理工株式会社の「SRソフトビジョン数値版」より低圧値感度の高いセンサーに仕様変更が必要であることが判明したため、低圧値計測が可能な低圧面状センサーの試作品を依頼、本年度入手することが出来た。今後は立体模型と被覆材、低圧面状センサーの接合を進め、センサー付き模型の完成を目指す。
Current Status of Research Progress	Current Status of Research Progress 3: Progress in research has been slightly delayed. Reason 平成30年度は耐久性の高い骨突出模型の作成に取り組んだ。先行研究において、重度骨突出者の膝上げ20度姿勢での臀部型取りを行った背側模型に粘土を用いて立体模型に形成した。充分に乾燥した状態で、型取り材を使用して型を取り、レジンとFRPを用いて模型を作成した。FRPはガラス繊維を編みこんでシート状にしたもので、荷重によるレジンの破損や変形を予防するために使用した。内腔は当初の予定通り空洞とし、腹部にあたる部分に錘を調整できる窓を作成した。錘は5ｇ毎の鉄製の粘着可能なウエイトを使用することで、左右の荷重バランスを調整することができる。体圧計測の使用機器は、腰部マット厚15cmの高機能エアーマット「ビッグセルインフィニティ」と、体圧計「SRソフトビジョン数値版（住友理工株式会社）」を低圧感度の高いセンサーにカスタマイズしたものを使用する。当初は「SRソフトビジョン数値版」の使用を予定していたが、カスタマイズした試作品の購入となったため、申請等の手続きに時間がかかった。このためセンサーと模型の接合ができておらず、センサー模型の完成には至っていない。しかし、当初よりセンサー付き模型作成の作成期間が延長する可能性を考えていたことと、作成時のデータ確認をしやすい研究室の環境を整えることが出来たため、今後の進捗に支障はないと考えている。
Strategy for Future Research Activity	平成30年度は、センサー付き模型の完成と予備実験を行う。住友理工株式会社の担当者と検討を行いながら作成する。研究室に模擬ベッドを作成し調査可能な環境を整え、模型に装着したセンサーとマット上に置いたセンサーの接地面の体圧が等しくなるかどうかを検証して、精度の確認を行う。体圧値の妥当性を確認後は、寝衣の装着方法について決定し、模擬ベッド上でのずれの観察を行う。ずれ調査については観察時間（2時間）が適切か、長時間観察を行い評価する。ずれの測定については当初予定していた擦れ計測器（プレディア）が販売中止となっていたため、ずれ量と圧力の計測から算出行うこととする。
Causes of Carryover	30年度にセンサー付き模型の完成を予定していたため、実験器具の購入代金等を計上していたが、センサー付き模型が未完成のため未購入で未使用額が生じている。31年度に実験器具を購入予定である。具体的には、模型吊り上げのための牽引具、データ計測のためのソフトなどである。また、学会開催地が近いことにより出張費の支出が少なくなっていた。今後はデータ分析後に成果報告に使用していく考えである。