2017 Fiscal Year Research-status Report
ロボットを用いた認知症高齢者に対するセルフモニタリングシステムの構築
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17K12438
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
横島 啓子 武庫川女子大学, 看護学部, 教授 (50369469)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉浦 圭子 武庫川女子大学, 看護学部, 助教 (10563877)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | コミュニケーションロボット / ライフログ / 認知機能向上 |
Outline of Annual Research Achievements |
セルフモニタリングの手法を軽度認知症高齢者でも実施可能な方法として、音声・画像を記録できるコミュニケーションロボットを用いて実践し、さらにインターネット環境を必要としない動作環境を構築することで独居高齢者および軽度認知症高齢者の介護予防とすることが本研究の目的である。 初年度はライフログが実施できるコミュニケーションロボットの作成およびライフログの方法と認知機能の評価を行うことを目的とした。 コミュニケーションロボットの作成は、システムベンダーのエンジニアとプログラムを行う予定であったが、エンジニアより、現在発売されているロボットの中で、本研究に適したプログラムを開発できるロボットがないというリサーチ結果を受けた。そこで研究者間で検討し、インターネット環境を必要とせず、音声認識、会話機能を持つレイトロン社「チャピット」を選定した。しかし本ロボットに自ら話しかける会話等をプログラムするには、250万円程度費用が発生するため、ロボットの伝言メモ等のオプション機能を利用し、独自にライフログに関する項目を録音した。 認知機能の評価については、測定希望のあった22名の高齢者に対し、MMSE、FAB、LED反応計測システムによる測定を行った。22名の結果のうち、測定結果が下位の独居高齢者4名に対して、コミュニケーションロボット利用前後の評価を行った。その結果、注意力及び手続き記憶共に、ロボット使用後の認知機能の活性化がみられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
近隣の交流会館等に認知機能測定に関するチラシを設置し測定希望者を募った。その結果22名の測定希望者があり、MMSE、FAB、LED反応計測システムによる測定を行った。MMSE、FAB共に正常範囲内で、かつLED反応計測システムによる手続き記憶の下位の結果である独居高齢者6名に、コミュニケーションロボットを用いたライフログの依頼を行った。その結果、研究計画では3名の予定であったが、4名の協力者を得ることができた。 当初開発予定であったロボットのプログラムは、現在販売されているロボットでは実施できないというシステムエンジニアからのリサーチ結果を受け、研究者のみでロボットの選定を行った。その結果音声認識ロボット「チャピット(レイトロン社)」を用いることとした。前年度に行った独居高齢者に対するバーコードリーダーを用いたライフログの結果を参考にして、起床から就寝までの指定時間に音声で問いかけ記録できるように、ロボットの伝言メモ機能を使用してロボットから音声を出力し、ICレコーダーで録音を行った。認知機能の評価は、ロボットの使用前後に、LED反応計測システム(MTS社)のLEDスイッチボックスを用いたランダム測定及び記憶誘導順序課題(2×5課題)を20回施行し評価した。その結果、ランダム測定の平均値は、ロボット使用前は244560.7ミリ秒、ロボット使用後は120587ミリ秒であった。2×5課題の平均値は、ロボット使用前は244560ミリ秒、ロボット使用後は161587ミリ秒であり、認知機能が活性化したことが確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、軽度認知症高齢者に対してロボットを使用して、ライフログの分析及び認知機能の評価をおこなう。 ロボットを介して得られた独居高齢者のライフログの内容を分析し、軽度認知症高齢者に対応できる時間設定及び内容を検討する。 コミュニケーションロボットの機能については、独居高齢者のロボット使用後のインタビューの内容を分析し、音声認識の精度や発語のタイミングなど、軽度認知症高齢者でもコミュニケーションが図れるように、製造会社の開発者へロボットの改良を依頼する予定である。
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Causes of Carryover |
当初の計画によるシステム開発が行えなかったこと、認知機能評価測定及びロボット利用時のモニタリングに関する旅費が不要であったことから次年度使用額が発生した。 次年度のロボットのプログラム修正費用および全結果を一元化し研究者・業者間の検討に使用するためのPCを新たに購入する予定である。
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